ビザンツ 幻影の世界帝国 の商品レビュー
従来、1204年の第4回十字軍によるコンスタンティノープル占領という破局を準備した時代とされがちなマヌエル1世の治世を客観的に再評価する一冊である。 誇大妄想的にユスティニアヌス期のローマ帝国を取り戻そうとしたと信じられがちなマヌエル1世について、現実的な認識と実現可能な方策をと...
従来、1204年の第4回十字軍によるコンスタンティノープル占領という破局を準備した時代とされがちなマヌエル1世の治世を客観的に再評価する一冊である。 誇大妄想的にユスティニアヌス期のローマ帝国を取り戻そうとしたと信じられがちなマヌエル1世について、現実的な認識と実現可能な方策をとって、無理のない形で大国としての威信を保つべく外交・軍事を切り盛りしていた姿を描く。結局、南イタリア奪回やミュリオケファロンなど治世の中では珍しく自国が前面に出てしまった積極策だけが失敗に帰したと説く点は示唆に富んでいる。
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イスラムと西欧に挟まれ、没落の一途を辿りながらも、「ローマ世界帝国」の直系を自負し高いプライドを保っていたビザンツ後期にスポットをあてる。実力に伴わないプライドが著者の言うところの「幻影」なのだが、その「幻影」を最大限に使って長く西欧やイスラムと渡り合ったビザンツはやはり歴史的...
イスラムと西欧に挟まれ、没落の一途を辿りながらも、「ローマ世界帝国」の直系を自負し高いプライドを保っていたビザンツ後期にスポットをあてる。実力に伴わないプライドが著者の言うところの「幻影」なのだが、その「幻影」を最大限に使って長く西欧やイスラムと渡り合ったビザンツはやはり歴史的に興味深い。
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