伊能忠敬 の商品レビュー

童門冬二(著者)

2018/10/31

山車事件を経験して、記録による実証主義の大切さを学び、古い記録を読んで知ることと、起きたことを記録することを始めた。

こうした姿勢は、公認した問屋からは運上金を取り立てるという田沼意次の政策に対する行動に発揮された。村で扱っている品目をすべて書き出したものや、先代が記録した帳簿を提出したりして、現実に納めることができる運上金の額を認めてもらうことに成功した。

三代前の景利が業務や出来事に関する大量の記録を編纂したのは、隠居後の52歳になってからだった。これを知った忠敬は、自分にも同じことができるはずだという思いを湧き立て、先祖に負けないような本格的な仕事を何かひとつ行おうと思い立った。