カムチャツカ探検記 の商品レビュー
僕がまだ東京に住んでいた24~5歳のころ、銀座のNikonサロンで写真展があり、ご本人にお会いして著書にサインをしていただいた。握手していただいた掌のぶ厚さと、サロン入り口を入ってすぐに展示されていた厳冬期の利尻富士のパネルの臨場感にドキドキしたことを今でも覚えている。 本...
僕がまだ東京に住んでいた24~5歳のころ、銀座のNikonサロンで写真展があり、ご本人にお会いして著書にサインをしていただいた。握手していただいた掌のぶ厚さと、サロン入り口を入ってすぐに展示されていた厳冬期の利尻富士のパネルの臨場感にドキドキしたことを今でも覚えている。 本書は三重県内の古本店が商品を持ち寄る『本ツヅキ三重』で出会った。岡田昇さんの名前を背表紙に見つけたとき、本書が出版されていたことを知らなかった僕は、著者との再会がうれしかった。一気に当時の想いが蘇った。 カムチャツカ半島、クリル(千島)湖周辺に生息する羆を含む野生に、深く自身が入り込み、そこでの体験の産物が、写真撮影であったり、また本書であったりする。 冒頭で述べた写真の臨場感と同様の興奮が本書から伝わる。質実剛健や実直といった言葉が当てはまる、迫力抜群のカムチャツカ探検記だ。 最近、熊との距離の取り方が頻繁にニュース報道されるが、著者が生きていればどんな発言や行動をされていただろう。そう、著者の岡田昇さんは、2002年1月 穂高岳で遭難死されている。当時49歳で、遭難はケースごとに原因が考えられるだろうが、角幡唯介さん説『43歳の落とし穴』を想起させる。 本書の出品者は名張市の古書からすうりさん。ということは、本ツヅキの会場まで行かなくても、古書からすうりさんの店舗に通っていれば良かったんだ…。
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