ディフェンス の商品レビュー
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「全く次元のちがう何とも誰とも共存できない特別な色と形を持った」ルージン。チェスに魅入られチェスマスターになるが、そのライバルとの対局中に倒れてしまう。チェスに対する盲目的な情熱は命取りであり、フィアンセの助力で彼はチェスを捨てた生活をはじめる。しかし日常のすべて、過去の記憶のすべてが彼をチェスに呼び戻す。そして彼をチェスに導いたヴァレンチノフとの再会。 「すべてがすばらしい、愛の陰影のすべてが。愛が選んだ起伏に富む謎めいた道筋のすべてが。そしてこの愛は命取りなのだ」
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昨日、図書館で。先に翻訳者の解説から読んで、まず興ざめしてしまった。英語からの訳らしい。。チェスのこと全くと言えるほど、私が知らない。 冒頭から少し読む。なんだかまどろっこしい、読む気がしなかった。以上
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ルージンは人との関わりがうまくとれない少年だった。心配した両親は彼を学校に入れようとする。一度は逃げたルージンだが簡単に見つかってしまう。案の定、学校ではのろまで愚図なやつとして級友のいじめに遭う。この逃亡そして不本意な帰還という図式は以後何度も繰り返されることになる。 ルージンが唯一興味を示したのがチェスだった。瞬く間に腕を上げ、子どもながら大会に出て勝利すると、学校をやめ、各地を転戦する競技生活に入る。成人し今やグランド・マスターとなったルージンだが、チェス漬けの毎日に神経を冒されていた。療養を兼ねて訪れたベルリン郊外の保養地で彼は後のルージン夫人と出会う。 優しいフィアンセを得て小康を得たのも束の間、宿敵トゥラチとの闘いの最中またしても神経を病む。医者の勧めでチェスと縁を切った生活をはじめるが、ルージンにとって生きる意味を実感できるのはチェスだけだった。妻が彼の周りから遠ざけておこうとする苦労を嘲笑うかのように、新聞の中から、客の会話からチェスが顔を除かせる。彼は自分の人生がチェスのゲームであり、何者かの一連の手筋によって操られているという妄想を抱くようになる。 子どもの頃から今に至るまで、何度も繰り返される狡知に長けた一連の手筋から逃れようとして、ルージンは起死回生の防御策(ディフェンス)を必死で探るのだが、攪乱戦術として頼った思いつきの一手が裏目に出て、のっぴきならない羽目に追い込まれてしまう。 「われわれが感じとるのは、人生の皮肉であり、アイロニーである。ルージンにとって唯一の幸福をもたらすはずのチェスが、彼を狂気にそして破滅にと追いやる原因になる。ルージン夫人が痛切な優しさでルージンを救おうとしても、その努力は報われない。そうしたすべては、気がつかないうちに人生という巨大なチェス盤の上の駒になり、そこで苦闘するために起こる悲劇なのだ。『ディフェンス』に出てくる登場人物たちは、ごく一部の例外を除いて、みな悲しい人間ばかりなのである。」(訳者解説より) 「気がつかずに通り過ぎてしまいそうな細部が、別の場所で再現反復されたり、他の細部と照応したりする」という、ナボコフ読者ならおなじみの精妙な構成は、ロシア時代に書かれたこの作品でもすでに確立されている。また、まるで映画の移動式キャメラで撮影したような遠近感に満ちた室内の描写や、ベルリンやペテルブルグ近郊の秋から冬にかけての自然の移ろいを描く筆致にはナボコフならではの文章の美しさを堪能できる。 一種の天才的芸術家の破滅型人生を描いた芸術家小説とも読めるが、主人公の人物造型は類型的なものではない。チェスの才能をとってしまえば、今の日本ならオタクと呼ばれてしまいそうな憎めないキャラクターの持ち主として不思議な魅力を与えられている。また、ルージン夫人の魅力については、次の引用で事足りよう。 「彼女のどこがいちばん魅力的なのか、掘り下げた者はまだ誰もいない。それは、魂の本能に絶対誤りがない子供時代にかつて彼女を魅惑し悩ませたことがあるものだけを人生のなかでつかまえ、おもしろいものや感動的なものを求め、見捨てられた不幸な生き物に対して耐えがたいほどの優しい哀れみをつねに感じ―― とる魂の神秘的な能力だった。」 チェス・プロブレムというのは、詰将棋に似た一人でできるパズルのようなものだそうだが、そのチェス・プロブレムと詩を組み合わせた作品集を刊行するほどの愛好家であったナボコフが、チェスのグランド・マスターを主人公にした作品を、自らもチェス・プロブレム愛好家である訳者が満を持して翻訳したという極めつけの一作。チェス愛好家でなくとも、ナボコフの魅力に触れることのできる愛すべき作品である。
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『ロリータ』が有名ですが、私はこれと、『ナボコフの一ダース』が特に好きです。 頭のおかしい天才を書かせたらこの人の右に出る人はいないんじゃないかと。 そういえば、未完の遺作が最近出版されたらしいですね。
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