シャーマンの弟子になった民族植物学者の話(下) の商品レビュー
エクアドルの奥地のティリオの村から始まった、 博士の野草の収集の旅は、友人となった部族民の 「こんな部族がここにいる、そこでこんな暮らしをしている」 と言う情報で、ブラジルの奥地まで広がりを見せる。 同じ種類の植物も部族の違いで呼び名も違い、 治療方法や病気、怪我の種類...
エクアドルの奥地のティリオの村から始まった、 博士の野草の収集の旅は、友人となった部族民の 「こんな部族がここにいる、そこでこんな暮らしをしている」 と言う情報で、ブラジルの奥地まで広がりを見せる。 同じ種類の植物も部族の違いで呼び名も違い、 治療方法や病気、怪我の種類も違っていたりするのだ。 無論同じ用法もある。 それは、その植物の中にある成分の多さをも語っており、 博士は持ち前の粘り強さと謙虚さで 次々にシャーマンに教えを乞うことができた。 博士が一番危惧しているのは、 こうした知恵と叡智が語り継がれずに失われることであった。 ブラジルのキリスト教の伝道団が入った地区へ行った時のこと。 そこではヨーロッパ人が入ったために、 土地の治療が効かない致死的な病気が流行り、 昔からの治療方法が時代遅れと見向きもされなくなって 失われつつあった。 アマゾンの多数の植物による治療は アマゾンの奥地へと逃げた人間達の過酷な生活の中で 発見され洗練された知恵。 (インディオ、クレオール、マルーンいずれも奴隷にされていた。キリスト教的排他な考えにより) 毒消も、この生物の毒はこの植物をこのように使うと 言う実に細かくピンポイントでしかも確実に結果が出る。 同じ植物も使用方法で、毒にも薬にもなる。 博士は15年も行き来をして、200ページあまりの知恵を書き留めたバインダーを長老に約束どおり渡すことができた。 そしてこの知恵を持つインディアン達がその恩恵を 受けることができるように、 知恵と植物が消えてなくならないようにと言う活動も 可能になっている。 我々がよく知っている植物に、こんな活かし方、薬効があったと、驚きながら読んだ。(本の最後に解説される植物名解説も圧巻) 実に読書している時間が楽しい上下巻だった。
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