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現存した社会主義 の商品レビュー

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2012/08/02

 現存した社会主義国家を同時代史の中に位置づけ、その崩壊が持つ意味を問い直し、現状への含意も考える野心的、意欲的著作。ただ、どうも言及する問題やそこでの議論があまりにも広大で、しかも氏は、そうしたものの一つ一つと丁寧に向き合おうとするので、読者としてはかなり疲れるし、正直、そこは...

 現存した社会主義国家を同時代史の中に位置づけ、その崩壊が持つ意味を問い直し、現状への含意も考える野心的、意欲的著作。ただ、どうも言及する問題やそこでの議論があまりにも広大で、しかも氏は、そうしたものの一つ一つと丁寧に向き合おうとするので、読者としてはかなり疲れるし、正直、そこはそれほど切り込む必要があるのかと疑問を持つ箇所も多々ある。  ただ、今からちょうど10年前、研究者としては油の乗り切っていた壮年期の氏がソ連および社会主義国家解体という激動から約10年過ぎて、「あの現象とは一体なんだったのか」を本来、氏は距離を置くような理論や比較を前面に押し出した研究をし、またそれを広く世に問おうとした精神は同じ研究者として評価できる。  この著作は、重量感たっぷりでそれ故に多くの読者には胃もたれ気味ではあるが、胃もたれにあっても味わう(一見の)価値はある。そんな思いも持った。

Posted byブクログ