救命士 の商品レビュー

ジョー・コネリー(著者),平井イサク(訳者)

2016/02/10

ニューヨークで活躍する救急救命士を描いた、ニコラス・ケイジ主演の同名映画の原作。

自ら救急救命士だった著者の描く救命士の日常は、あまりに過酷で、あまりに現実的。
夜勤に入る大都会の救急救命士は、呼吸困難、銃撃事件、薬物中毒、アルコール中毒といった呼び出しに追いまくられて、自らをすり減らしながら仕事をこなしていく。

ニューヨークで生まれ、街の人の命を救うと高い理想をもって救命士になった主人公は、そこに生きがいを感じ職務に没頭する。
しかし、あまりに多くの現実と向き合い、救えなかった命の多さに押しつぶされ、夢、生活、大切なパートナーそして、自分を失う。
しかし、それでも彼は救命士であり続け、今日も救急車に乗り続ける。
全編、事故や中毒、心肺停止などに溢れており、読んでいるだけで、痛みに慣れ、感覚がマヒしてくる。
でも、それが現実なのだろうと思えた。