無情の世界 の商品レビュー
過剰な自意識、もしくは弱さによって世間から転落してしまったひとをバカにするワケではなくユーモラスに描いている。少しの差異で容易に転落してしまうからこそ必死にしがみつく方も滑稽で、おかしいのはどちらかわからない恐怖がある。文章に地に足が着いていない感じがするし、瑞々しいとも言える。
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「トライアングルズ」 「無情の世界」 「鏖(みなごろし)」の 3 作品収録。 すべて違った形の狂気を描いている。 「鏖(みなごろし)」がかなりイイ感じ。 またもや Tarantino っぽい。 1999 年 第 21 回野間文芸新人賞受賞作品。
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『インディヴィジュアル・プロジェクション』以来、久々の阿部和重。最初は常盤響が装幀やってるし、おしゃれな感じ、というイメージだったけど、今読むと、面白かった。 暗い。救いよう無い。だから好き。
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この作家ならではのストーリー展開と激しい暴力シーンにはいつもハラハラさせられるが、ラストを読み終わった後底抜けに明るい気分になる。
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ああ現代の作家だなというのが第一印象。 この方芥川賞なのはとても正しいのだろう。 なんというか、文学というのは怠惰と絶望と堕落をテーマにしがちなもんだと思うのですが、阿部和重の書くそれらはメディアの喧伝する現代の怠惰と絶望と堕落そのものだと感じました。作り話めいているところ...
ああ現代の作家だなというのが第一印象。 この方芥川賞なのはとても正しいのだろう。 なんというか、文学というのは怠惰と絶望と堕落をテーマにしがちなもんだと思うのですが、阿部和重の書くそれらはメディアの喧伝する現代の怠惰と絶望と堕落そのものだと感じました。作り話めいているところに逆に存在感がある怠惰と絶望と堕落。 ブラウン管の向こうの、多くの人間にとっては人事でしかないけれど想像しやすいそれらを阿部和重は狂気の一種として描いて正気とされるものと対比させては「狂気とは何か」を知りたいのではないかと感じました。 しかし、こういう現代の風潮とかを書きがちな小説に出てくる人物というのは何故こんなに魅力がないのでしょうね。現代人のパブリックイメージはツマラナイニンゲンなのか? でも実際そんなことはないしねぇ。 何となく現代の小説を読むと現実との乖離を感じます。 でも読む人がいるのだから、多分共感できる人も多いのだろうな。 私はあんまり好きではないです。
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