パレスチナへ帰る の商品レビュー
「まだしも不利を被っていない者たちがアメリカン・コロニーのようなホテルに流れ込んでくるのは、外国人に会えて、楽しそうなところでコーヒーを飲めて、自分が外の世界とどこかで繋がっていると感じられるという希望ゆえのことである。」 ガザの子どもたちがマックルモアーのHind's...
「まだしも不利を被っていない者たちがアメリカン・コロニーのようなホテルに流れ込んでくるのは、外国人に会えて、楽しそうなところでコーヒーを飲めて、自分が外の世界とどこかで繋がっていると感じられるという希望ゆえのことである。」 ガザの子どもたちがマックルモアーのHind's hallを聴いている動画を見た。現在この頃とは状況の酷さが全く別のフェーズになってしまっているけれど、彼らにとってあの曲が、あの動画が、外の世界にもパレスチナに連帯する人がいるという希望に少しでもなっているといい。 「自分たちが1948年以来パレスチナ人に対して行なってきた仕打ちを認知するよう求めること。これは、パレスチナ人として、イスラエルのユダヤ人に対して、認識と賠償とを求めるということである。」 今最も求められるのは即時停戦だけれど、戦闘行為の終わりはゴールではない。100年近く続けられている仕打ちの認識と賠償が為されてようやく平和的共存へのスタート地点に、立てるのだと思う。
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古い本ではあるが、現在のイスラエルとパレスチナの問題を考える上で、読んでおいてよいものだと感じた。サイード個人のイスラエル訪問記であることで、問題を臨場感をもってとらえることができる。控え目だが良質なドキュメンタリーと言ってもよい。
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ポストコロニアル系を勉強するか、という目的と、「旅」について考える、という目的から読む。 在米のパレスチナ人の著者が、45年ぶりにイスラエル/パレスチナを訪れる。これは、著者が、政治活動の第一線から引いたことから可能になった旅である。とともに、白血病の宣告を受けて、自分の命の...
ポストコロニアル系を勉強するか、という目的と、「旅」について考える、という目的から読む。 在米のパレスチナ人の著者が、45年ぶりにイスラエル/パレスチナを訪れる。これは、著者が、政治活動の第一線から引いたことから可能になった旅である。とともに、白血病の宣告を受けて、自分の命の有限性をはっきりと認識した著者の自分のルーツを確認する旅でもある。 ここに、期待されるのは、幼年時代の記憶と現状のパレスチナへの批判的な論説である。 で、まさにそういう期待のとおりなんだけど、それを良い意味で裏切るものは少ないかな。あえて言えば、パレスチナの子ども達が、結構、明るくやっているところとかが、意外性があって、面白かったかな。あと、割とたんたんとしたサイードの抑制された書きぶりも面白いと言えば面白かった。 四方田さんのパレスチナ問題とサイードとの関係に関する解説が、すごくよくまとまっていて、勉強になった。
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