山之口貘詩文集 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
茨木のり子づてでこの詩人に辿り着いたが、「オキナワ」と呼ばれ職業差別された、汚穢屋なるたいへんな仕事をやらされた(きつい汚い臭い)、まぁひどいことを初めて知ることになった。だが獏さんは「躊躇うことのない素直な感性」で、それを、何十枚の原稿用紙を引き裂きながらではあるが詩に作っていて、賞として名前が残っていることをとてもうれしく思うほどである。
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地球の上での繰り返しなので/月の上にいたって/頭をかかえるしかない筈なのだ 「頭をかかえる宇宙人」の一節。ここがたまらなく好きだ。山之口漠の「地球」とは何だろ?昔からの疑問がこの解説で断片的ながらも理解できた気がする。そして、もっと奥が知りたくなり、この作品に帰ってくる。腹たちま...
地球の上での繰り返しなので/月の上にいたって/頭をかかえるしかない筈なのだ 「頭をかかえる宇宙人」の一節。ここがたまらなく好きだ。山之口漠の「地球」とは何だろ?昔からの疑問がこの解説で断片的ながらも理解できた気がする。そして、もっと奥が知りたくなり、この作品に帰ってくる。腹たちまぎれに現代を生きるのに、ちょいと疲れたら帰ってくる。
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窮乏と放浪の生活を独特のアイロニーとユーモアをもって凝視して、存在すること自体の不安定さを、例えば座布団を敷くことのうちに見抜くばかりでなく、沖縄出身者に対する差別的な眼差しをも見返す詩と散文を集成した一冊。苦難に満ちた日常生活の細部を言葉をもって見つめるなかで、書くことを生き...
窮乏と放浪の生活を独特のアイロニーとユーモアをもって凝視して、存在すること自体の不安定さを、例えば座布団を敷くことのうちに見抜くばかりでなく、沖縄出身者に対する差別的な眼差しをも見返す詩と散文を集成した一冊。苦難に満ちた日常生活の細部を言葉をもって見つめるなかで、書くことを生きることそれ自体にまで高めているが、それが同時に痒いところを「掻く」ことでもあったりするのが興味深い。そのことが示すように、言葉遣いにはごつごつしたところがあるが、語り全体の優しさや軽やかさを失わないのがこの詩人の持ち味だろう。それによって、沖縄が、沖縄から出て東京に生きることが、さらにそれらを見つめる視線が、いっそう明瞭に浮き彫りになっているところもある気がする。山之口貘の詩作は、「やまとぐち」との関わりを含め、李箱やカフカを思い起こさせるが、そのようなマイナー性をもった詩人が沖縄の「祖国復帰」を願ったのはどういうことだったのだろう。
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その詩篇に触れたことはあるものの、1963年59歳で逝った稀代のルンペン詩人山之口獏については、最近になって茨木のり子「山之口獏-うたの心に生きた人々-」-「言の葉1」所収-によって知った。 その生きざまの徹底ぶりに驚いた。なかなかの衝撃的痛快さ、といえば些か失礼になろうが、そん...
その詩篇に触れたことはあるものの、1963年59歳で逝った稀代のルンペン詩人山之口獏については、最近になって茨木のり子「山之口獏-うたの心に生きた人々-」-「言の葉1」所収-によって知った。 その生きざまの徹底ぶりに驚いた。なかなかの衝撃的痛快さ、といえば些か失礼になろうが、そんな第一感だった。 詩作人生40年余で遺した詩篇はたったの197篇-この極端なほどの寡作ぶりは何処からくるのか。 彼の詩は、その語彙において、きわめて限られており非常に少ない、とみえる。それでいておもしろい、圧倒的なほどに個性的だ。 「地球」という一語が、それこそ頻繁に登場する。そして「結婚」の二字も、枚挙に暇がないほどだ。これらは詩人がもっとも執心した言葉だった、のようだ。 彼は、彼にとっての真実を描くに、言葉の変奏をすることなどまったく眼中になかった、語彙を敢えて拡大することなどは、彼の詩にとって邪悪なものでしかなかったのだろう。 彼は「詩」というものに、ひたすらまっすぐに格闘した詩人なのだ。 巻末の解説のなかで荒川洋治が「一編の詩のなかには作者が十分に承知しているものと、作者が十分には承知できないままにそうなっているものとがあり、それらは実際には別物なのだが、表面的には二つはとけあっているように見える。それが詩的物象の実体である。詩は短いものだが、そのなかには端的にいって、矛盾がひしめいているのである。」と書いているが、このことは、詩ばかりではない、あらゆる表現というものの本質を、よく言いあてていると思われる。
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この世界、ものすごく新しいです。 もっと知りたい。 でも40年間の詩人生活で200いかない詩の数だそうで、大事に読みたくもあります。 詩を読んでみて、金子光晴が愛着を持つのがすごくよくわかりました。
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「誰かが女といふものは馬鹿であると言ひ振らしていたのである ぼくは大反対である 諸手を挙げて反対である・・・…だから女よ こつそりこつちへ廻はつておいで ぼくの女房になってはくれまいか。」すとんと落ちてきました。
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MO'SOMETONEBENDERの百々さんがオススメしていたので読んでみました。文体がスルスル入って来て気持ち良いですよ。ソフトな町田康な感じ。。
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