夜の果ての街 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
日本のブライアン・ラムレイと言ってもいい、朝松 健の長篇。逆宇宙シリーズで片鱗を見せた香港趣味に、タンゴとスペイン語が加わった一作。 星3つの理由:筋立てキャラ立てはひとつひとつ面白い。だが一方では見せ方が中途半端で、活劇に集中したらいいのか、登場人物に感情移入したらいいのか、よくわからなかったから。 読みどころ:こちら側と向こう側、この錯綜の描き方。本来の私たちが居る世界と地続き、という認識で居た『こちら側』が、どこか変だと感じる記述からのカラクリ種明かしが面白い。 評価できないところ:作中に描写される『性的な逸脱』がそこまで冒涜的かなー?意味あるかなー?という虚しさを覚える。それほど信仰深くない人間が、涜神を見聞きしたり実践したりしても、 「それってただの模倣行為に過ぎないでしょ?」 ということ。 この手のホラーや邪悪な集団にはこういうのが付き物とはいえ、『性的な逸脱』の描写が今一つ『シスジェンダーでヘテロな性道徳』を前提にしていて、上っ面をなでただけに思える。 現実世界の複雑さと罪深さのほうがより根深きものだからだろう。 エロ要素はフレーバー、と割り切って読める読者には問題ない。 評価できるところ:アンヘルまじ天使。
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