旅へ の商品レビュー
そうだ、旅とは本来格好悪いものなのだ。勝者はその地に根を下ろし、敗者は逃亡や喪失でその地を去る。 東京五輪を目前に控えた1964年、思い悩み北海道を放浪する野田氏。オリンピック合宿に励む後輩と偶然出会い、懇親会に誘われる場面の何と残酷なことか。逃げるように南下し、大学で英字新聞...
そうだ、旅とは本来格好悪いものなのだ。勝者はその地に根を下ろし、敗者は逃亡や喪失でその地を去る。 東京五輪を目前に控えた1964年、思い悩み北海道を放浪する野田氏。オリンピック合宿に励む後輩と偶然出会い、懇親会に誘われる場面の何と残酷なことか。逃げるように南下し、大学で英字新聞を売り歩くフーテン生活を送る。そんななかで体験した京都での生活がその後の野田氏の人生を形作ったといえよう。 ヨーロッパ放浪で他人と違うことの価値、自分を表現する喜びを味わい、帰国後の会社員生活で「こうじゃない」と決意する様、それは青春というモラトリアムのなかで苦悶し奮闘があったからといえる。 勝者となってレールに乗ることは決して悪いことではない。そうした人々が世の中を良くしていくのだ。でも敗者となって格好悪くてもよいではないか。そうした人物が世の中を変えていくのだ。そう思える一冊である。
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椎名誠の「岳物語」を読んだ時野田さんを知った。 カヌーが好きで、好きなことを仕事にして機嫌よく生きている人というような印象をもっていたので、この本を読んでびっくり。 こんな悶々とした若かりし頃があったのか。 その頃の日本と今ではやはり時代も考え方も随分違うと思うけれど、その...
椎名誠の「岳物語」を読んだ時野田さんを知った。 カヌーが好きで、好きなことを仕事にして機嫌よく生きている人というような印象をもっていたので、この本を読んでびっくり。 こんな悶々とした若かりし頃があったのか。 その頃の日本と今ではやはり時代も考え方も随分違うと思うけれど、その強烈な自意識はいつの時代も変わらないものだろう。 若者の気持ちも親としての気持ちもわかるようになった今読むと複雑だけど、やはり人生は自分で道をみつけていくしかないのだと思う。 「岳物語」を読み返してみたくなった。
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98年年末、ニュージーランド滞在中に読んだ。旅読書きっかけの一冊。この本に刺激を受け、6年間の放浪生活がはじまった。
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俺の人生は俺のもの、誰にも邪魔されず、思うがままに生きる。 色んなしがらみのある世の中において、一歩を踏み出すこと! 殻を破ること! を躊躇っている人が大勢いる。 結局、人と同じように、将来安定した生活を選んでしまう。 本当に自分のやりたいことを諦めてまで、人生なんてこんなもんだ...
俺の人生は俺のもの、誰にも邪魔されず、思うがままに生きる。 色んなしがらみのある世の中において、一歩を踏み出すこと! 殻を破ること! を躊躇っている人が大勢いる。 結局、人と同じように、将来安定した生活を選んでしまう。 本当に自分のやりたいことを諦めてまで、人生なんてこんなもんだろうと妥協した生活をしていくのか・・・ 自分の人生は自分で決めるものだ。 この本は最高のモチベーションであり、バイブル的存在!!
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傑作。 カヌーイストとして知られる野田さんの20代前半からの自伝。 「どくとるマンボウ航海記」のような明るい旅物語とは対照的な書籍。英字新聞の営業で稼いだ金でソ連経由でヨーロッパ各地を放浪するその行動力たるや! 楽しい思い出も当然語られているんだけど、真夏のギリシャのオリンピ...
傑作。 カヌーイストとして知られる野田さんの20代前半からの自伝。 「どくとるマンボウ航海記」のような明るい旅物語とは対照的な書籍。英字新聞の営業で稼いだ金でソ連経由でヨーロッパ各地を放浪するその行動力たるや! 楽しい思い出も当然語られているんだけど、真夏のギリシャのオリンピア、2,500年前に造られた競技場で「誰もいない、無人のオリンピアの熱く焼けた石に座っていると空しさが強く胸を噛んだ。俺は何でこんな所にいるのだろう。どうしてこんな荒涼とした所に来てしまったんだろう」との思いをかかえながらトラックを汗まみれになりながらずっと走るシーンもあり。 野田さんはこの放浪でなにか(人生に対しての手応えや自信?)を手に入れたくて旅をしているのになにも手に入らない・・・。 自由であり続けること・束縛されないことへの強烈なこだわりをもってこの人は生きてきたのだと実感できます。おすすめはしませんがかなり好きです。
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