屋上物語 の商品レビュー
デパート屋上の遊具が一人称で語る形態の、連作ミステリ。遊具はあまり重要ではなく、主人公は屋上のうどんスタンドの店長と、常連たち。屋上およびその周辺で起こる謎を店長が解いていきます。ミステリとしてはご都合主義なところ多くイマイチかと思うのですが、屋上の遊具という郷愁漂う設定がそれを...
デパート屋上の遊具が一人称で語る形態の、連作ミステリ。遊具はあまり重要ではなく、主人公は屋上のうどんスタンドの店長と、常連たち。屋上およびその周辺で起こる謎を店長が解いていきます。ミステリとしてはご都合主義なところ多くイマイチかと思うのですが、屋上の遊具という郷愁漂う設定がそれを打ち消しているように思われます。
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うどんスタンドの主・さくら婆ァは、今日も デパートの屋上で起きる不思議な事件の核心に 切り込んでいく。地上40メートルの「楽園」に して「密室」を舞台に紡ぐ、長編連鎖ミステリー。
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屋上を舞台に、モノ達の視点を使って語られる短編連作小説。 うどん店の主、猛女、さくら婆ァがかっこよすぎる。そんな彼女の過去は…。 前話と次作が関わりながら、最後にすべてがつながっていく。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ミステリーと言うより人情ドラマ。ワンパターン的なキャラクター作りはともかく、雰囲気が暗くてどうしても好ましく読むことが出来ない。 明るい殺人劇があってどうする。そういう意見もあるかとは思うが、キャラクターだけはもっと明るくあって欲しい。そう思うのだ。
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デパートの屋上にある、安くて美味いうどんを出す名物スタンド店。その主は『さくら婆ぁ』と呼ばれ恐れられる存在だ。この平和なはずの楽園で次々と起こる事件。自殺、殺人、失踪・・・。 屋上を舞台としたチェーンミステリー。 チェーンミステリーに惹かれて。 人々の憩いの場所、デパートの屋...
デパートの屋上にある、安くて美味いうどんを出す名物スタンド店。その主は『さくら婆ぁ』と呼ばれ恐れられる存在だ。この平和なはずの楽園で次々と起こる事件。自殺、殺人、失踪・・・。 屋上を舞台としたチェーンミステリー。 チェーンミステリーに惹かれて。 人々の憩いの場所、デパートの屋上、そこの恐いけれど筋の通った名物店主という所から、勝手に人情話を想像していました。が、自分本位な犯人が引き起こす事件が多く、砂をかんだような読後感。 こんな事件が多発する屋上は、閉鎖になってもおかしくないです。
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他シリーズなど、料理の描写が美味しそうなことには(私個人で)定評のある北森作品ですが。今回の巻末著者略歴で「調理師免許を持っている」と判明し、ひどく納得しました。どーりで! 今回出てくるうどん屋スタンドのモデル店はそんな先生のお墨付き…東京池袋の某百貨店屋上にあったそうですが、ど...
他シリーズなど、料理の描写が美味しそうなことには(私個人で)定評のある北森作品ですが。今回の巻末著者略歴で「調理師免許を持っている」と判明し、ひどく納得しました。どーりで! 今回出てくるうどん屋スタンドのモデル店はそんな先生のお墨付き…東京池袋の某百貨店屋上にあったそうですが、どこですか先生!教えていただければ百円玉数個握り締めて、絶対に行きます! デパートの屋上…そこは空中の楽園。あるのは少し古く小さい遊具たち、ベンチなどの憩いの場、稲荷狐や地蔵。人に伝えることの出来ない器物たちは、そこに集う人々をただ見ていた。彼らがしていく行動を、そして自殺や殺人や…たくさんの事件を。 見ているだけで歯がゆく思う器物らの前で、しかし屋上の女傑・うどんスタンドの主のさくらさん(人は彼女をさくら婆と呼ぶ)がエコーの煙をくゆらせながら、思考に沈み事件を解決していく。 前・店長が自殺した場所から飛ばされた紙飛行機。『気をつけろ9・26』。震える指でタバコを吸う学生服の少年。―――「はじまりの物語」 ひとりの警備員の死体。死亡時間に撮られたUFOの写真。突然に動かなくなってしまった古びた年代物の観覧車。―――「波紋のあとさき」 電話の3つのボタンを何度も押す女子高生。ベンチに置き去られたPHS。ほぼ同時刻に鳴り出し流される奇妙な音。―――「SOS・SOS・PHS」 子供が突然苦しみだした事件。各地を転々としてきた古びたピンボールマシン。最高記録に夢中で挑戦する高校生。―――「挑戦者の憂鬱」 時々やってくるようになったバグパイプ奏者。病院から逃げ出した日雇い労働者。夕方の病室から見えた風景。―――「帰れない場所」 隠すように置かれていたバグパイプのケース。消えたバグパイプ男。さくら婆から祈りを、願いをかけられた小さなお地蔵様。―――「その一日」 閉店の決まったスタンドに家出娘を探して声をかけた中年男。変身ヒーローの興行ショー。怪獣の着ぐるみの中の死体。―――「楽園の終わり」 事件と事件が絡んで繋がっていく連鎖ミステリー。 ”連鎖”と書いて「チェーン」と裏表紙にはルビが振られていましたが、私は著者のことばにある”数珠つなぎミステリー”の方がいいなぁと思います。チェーンはなんとなく悪意の繋がりのようで…。さくら婆が事件を解決しながらも願っていただろう「祈り」が数珠となってくれれば、救われるかなぁ…などと感じます。 そう感じるほどに、空中の楽園にしては話が重くやりきれない話が多いのです。そりゃぁさくらさんだって弱気にもなるよ!いくら濁声でドンブリを戻さない客を一喝(ぎろりと睨むのも付属)したり、いわゆるヤクザ者に対して劣らない威圧感(&うどんの熱闘攻撃)を与えられるような女傑でもさ! いや…でもスゴイ女性です。きっと面と向かったら怖いだろうけど、でも尊敬に値します。でもそんな彼女にも、過去には悲しい思い出が…。 話は重いながらも、ヤクザ者で結局さくらさんに使われまくってる杜田、ちょっとケンカっぱやいけど気のいい高校生・タク、そしてさくらさんの3人はなんだかんだでいいトリオですよねv 気が合うというか、バランスが取れていた感じ。おバカさんで子供なタクを「やれやれ」と見てるさくらさんと、一緒になって笑い合いつつも危なくなれば引き戻す杜田、子供扱いして仲間はずれにするなヨとぶーたれるタク…みたいな。 いつかどこかで、また会える日を迎えられた…そう思いたいものです。
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老若男女が憩う空中の楽園-デパートの屋上。 そこで起こる不思議な事件。自殺、殺人、失踪、そして落し物。 それらを解き明かすのは、屋上にあるうどんスタンドの主、人呼んでさくら婆ァ。 その濁声で興行師(ヤクザ)をも怒鳴りつけるさくら婆ァだが、彼女にも哀しい過去があった・・・。 これ...
老若男女が憩う空中の楽園-デパートの屋上。 そこで起こる不思議な事件。自殺、殺人、失踪、そして落し物。 それらを解き明かすのは、屋上にあるうどんスタンドの主、人呼んでさくら婆ァ。 その濁声で興行師(ヤクザ)をも怒鳴りつけるさくら婆ァだが、彼女にも哀しい過去があった・・・。 これまた面白かったです。 連作短編かと思ったら、これは長編? 一章でひとつの事件が解決されるのですが、その事件が次々連鎖していくという。 そして語り部がまた変わっているのにもやられました。 屋上に在る(居る?)モノ目線なのです。伏見稲荷大神の狐であったり、ベンチであったり、屋上自身であったり。 それらは動くことができないので、屋上で起きた事件の一部始終を目撃しています。 しかしまた話すことができないので、真相を教えることができません。 そのもどかしさがよく描かれていました。 そして探偵役であるさくら婆ァも、ほとんど屋上から動くことができません。 彼女は屋上のスタンドでうどんを作って売らねばなりませんから。 そこで手下(?)となって情報を集めてくるのが興行師の杜田と高校生のタク。 実はこれはいわゆる安楽椅子探偵モノだったのですね。 気がつけば全ての事件は屋上で起こり、また屋上で解決されているという。 変わった構成で面白かったです。 まあとにかく、さくら婆ァの哀愁と気風のよさに惚れますね。
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本のどこかに長編って書いてあったけど、こういうのは連作っていうのではなかろーか。 北森鴻って、さくら婆ァなんてキャラが描けるんだ。 というのが、率直な感想だったり。しかしながら、ただの「ババァ」と呼ばれて終わりのおばさんではなく、きっちり背景が(背負う暗く重いものが)あるのが北...
本のどこかに長編って書いてあったけど、こういうのは連作っていうのではなかろーか。 北森鴻って、さくら婆ァなんてキャラが描けるんだ。 というのが、率直な感想だったり。しかしながら、ただの「ババァ」と呼ばれて終わりのおばさんではなく、きっちり背景が(背負う暗く重いものが)あるのが北森鴻らしい感じではある。 さくら婆ァ、かなりいいキャラよね! いいなあ。かなり憧れだわ。でも、絶対自分にはなれないだろうなあ…。のほほんと生きてきて(それなりにはあったけどさあ、さくらさんには負けるさ)、背負うものもないからさ。 さくら婆ァが最後に背負ってきたものを下ろせたのはほっとした。この連作集って救いがないのがぽろぽろ含まれてるんですよね。しかも、その救われのなさっていうのが、まさに今の世の中を映し出しているようで痛い。弱い自分から抜け出せずに、悪い方向へ走ってしまった西尾少年がその筆頭かな。やりきれなさを感じるよね。 ところでこの話、叙述者がモノなんですよね。屋上にあるものたち。 物を叙述者にするというのは、あちこちで使われていると思うのでそれ自体は目新しさはなくなってしまったけれど、「屋上物語」というタイトル、「屋上のヌシ」さくら婆ァ、そして楽園を外側から客観的に眺め、語るという点でうまい具合になってると思いました。
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デパートの屋上を舞台にした連作ミステリ。 いつもの北森作品よりは軽めの仕上がり。 語り手がデパートの屋上にある無機物で、1作ごとに変わるというのが目新しかったかな。 お稲荷さんだったり、古いピンボールマシンや観覧車にもそれぞれに物語がある風に描かれている当たり、デパートの屋上と言...
デパートの屋上を舞台にした連作ミステリ。 いつもの北森作品よりは軽めの仕上がり。 語り手がデパートの屋上にある無機物で、1作ごとに変わるというのが目新しかったかな。 お稲荷さんだったり、古いピンボールマシンや観覧車にもそれぞれに物語がある風に描かれている当たり、デパートの屋上と言うある意味特殊な場所が持つファンタスティックな雰囲気とよく合っている。 主役を張るさくら婆さんの強烈な個性、口ではなんだかんだ言いながらもさくら婆さんの頼みを聞いて細々とした調査をする杜田。 この2人になんらかの関係を匂わせながら話は進んでいく。 登場人物のほかに、この二人の関係が連作を繋ぐキーとなっていく。 最後にさらりと書かれる真相はつまらないぐらいよくあるものだけど、この作品にはとても合っていると思う。 自分ではどうしようもないやるせなさ、切なさ。 そう言えばこの話では後味のよくないものが多い。なのに不思議なことに読後感は悪くない。 キャラクターのなせる業なのか。 デパートの屋上で一日過ごしたような余韻を与えてくれる。
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屋上が好きだ。 屋上に通じるドアを開けたとたん、広がる突き抜けた世界が好きだ。 ここの屋上の平和は、しかめつらでたばこをふかす一人の女性に守られている。
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