黒い翁 の商品レビュー
血をタブーとするか否かで同じ行為が祝福にも呪いにもなる。すっぽんの生き血など益があると言われていても、そこには何かすさんだ生命力の恐ろしさを感じてしまう。その恐ろしさこそ人間のタブーの源泉であり、そして差別の源でもある。三番叟に現れる翁はまさに差別される翁であり、差別される側から...
血をタブーとするか否かで同じ行為が祝福にも呪いにもなる。すっぽんの生き血など益があると言われていても、そこには何かすさんだ生命力の恐ろしさを感じてしまう。その恐ろしさこそ人間のタブーの源泉であり、そして差別の源でもある。三番叟に現れる翁はまさに差別される翁であり、差別される側からの祝寿芸こそが本当に力のあるものだとみなされていた。そうした二重に錯綜した差別とタブーについて、非常にわかりやすく書かれている好著。
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