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2009/10/04

談話研究についての網羅的な概説書。大きく三部構成で、基礎編、方法編、応用編に分かれる。本文約200ページの中に25章も盛り込まれており、他に談話分析についての日本語での入門書が見当たらないとすれば、談話分析や隣接諸分野を勉強し始める人については大変有用な本であると思う。  各章の...

談話研究についての網羅的な概説書。大きく三部構成で、基礎編、方法編、応用編に分かれる。本文約200ページの中に25章も盛り込まれており、他に談話分析についての日本語での入門書が見当たらないとすれば、談話分析や隣接諸分野を勉強し始める人については大変有用な本であると思う。  各章の始めにはキーワード、そして終わりには課題、参考文献の紹介、などの学習書としての配慮にも富んでいる。(ただ独習もできるように一部の「課題」については解答がついているとさらに良いと思った。)  個人的に驚いた部分は、「非言語コミュニケーションの研究」の章で、「身体動作学(kinesics)、「近接空間学(proxemics)」、「身体接触学(haptics)」などが学問分野として確立していることで、例えば北米の白人の場合見知らぬ人が自分の45cm以内に近寄ったら脅威を覚えるなどという研究があることに驚いた。他にも応用編の部分では「法言語学(forensic linguistics)」という分野があり、すでに学会まで存在することにも驚いた。その他にもこの本では、もちろん、もっと基本的な部分である「談話」、「テクスト」、「コンテクスト」、「コミュニケーション」などの多様な捉え方や定義から始まっており、とにかく網羅的であるので、全体の見取り図を描くのにはちょうど良い。  ただ、全体のページ数と盛りだくさんの内容を考えると仕方のないことだが、1章はだいたい8ページくらいで完結しており、だいたいの事項が「一通りの説明→例示」で、あまりにもサクッと終わっているので、もう少し説明が欲しいところだったが、その部分は挙げられている「参考文献」で補えということだろう。

Posted byブクログ