長屋王 の商品レビュー

寺崎保広(著者),日本歴史学会(編者)

2015/09/20

著者の来歴から、そうだろうと予想はしてましたが圧倒的に考古学的な面からのアプローチが多かったです。それは長屋王という人物に関してはそうならざるを得ないかもしれません。
長屋王家木簡の内容を多く取り上げて長屋王家の家政機関や邸宅、御田や御薗などの経済基盤まで幅広く簡潔に記述されています。
また長屋王の生年設定や長屋王の変に関する考察などいくつかの説のある部分については各説を紹介し論拠を挙げてここではこれを採るという形も概ね納得のいくものになっています。どれも手堅い感じになってますね。
ちょっと考古学的な話が多いのは興味が無い場合は長く感じるかもしれませんが好きな方にはたまらないかと。
そしてあの長屋王邸と木簡の発見で得た情報と見識の深さを思い知りました。
興味を持った最初に読む本としてとても優れていると思います。