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空への質問 の商品レビュー

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2024/09/12

高階杞一さんの詩集ですね。 第四回三越左千夫少年詩賞を受賞されています。 挿絵は、おーなり由子さん 編集は水内喜久雄さん 1999年初版。三十篇の詩集です。      「準備」   待っているのでない   準備をしているのだ   飛び立っていくための   見ているのでない ...

高階杞一さんの詩集ですね。 第四回三越左千夫少年詩賞を受賞されています。 挿絵は、おーなり由子さん 編集は水内喜久雄さん 1999年初版。三十篇の詩集です。      「準備」   待っているのでない   準備をしているのだ   飛び立っていくための   見ているのでない   測ろうとしているのだ   風の向きや速さを   初めての位置   初めての高さを   こどもたちよ   おそれてはいけない   この世のどんなものもみな   「初めて」から出発するのだから   落ちることにより   初めてほんとうの高さがわかる   うかぶことにより   初めて   雲の悲しみがわかる       「声」   空に鳥が飛んでいる   羽を広げて ゆうゆうと   そのように   ぼくも   かってはどこまでも飛んでいけると思っていた   羽を広げるだけで   自由にどこへでも行けると思っていた   が   今、空ははるか遠くに見える   何が変わってしまったか自分の中で   空の青く澄みわたった日には   どこか遠くから   ぼくにも   ーー飛んでごらん   と   やさしく呼びかける声がして       「出発」   枝は古い   けれど   鳥は新しい   春ごとに覚えたての歌を口ずさむ   いすのは古い   けれど   空は新しい   日々生まれたての光をふりそそぐ   暗く長い冬を読み終えて   ぼくは今日   次のページをめくる   窓をあけ   新しい鳥の歌を聞くために   新しい光と出会うために   そして   新しい場所へと出かけていくために       「空への質問」   ここへ ぼくを呼んだのは   なぜですか   ここに今 ぼくがいるのは   なぜですか   ここに今 ぼくのいる意味は   なんですか   この広い宇宙の中で   ぼくは   なんですか   なんだろう        「返事」   冬の くもった空へ   手紙を書いた      いいことなんて          あるのかなあ   つぶやいて   土のポストにいれた   その夜   雪が   降ってきた   遠い 空のはてからの   返事のように  おーなり由子さんの、鳥さんと雲のイラストがやさしくユーモラスに、高階杞一さんの詩を包んでいます。柔らかく清々しく空をかけめぐります。  高階杞一さんの、呼びかけるような命の讃歌がふんわりとリズミカルに綴られています。ロマンに満ちていますね。ときにはメルヘンめいていて、若い人たちにも語りかけているようです。子どもさんにも読んでもらいたい詩集ですね。  心が明日へと羽ばたいていけるように感じました。 (この本は、メメさんの本棚登録で感銘を受けて読んでみたいと思いました。メメさん、高階杞一さんの詩は、やさしく希望と夢を膨らませます。)  

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2024/05/31

「空への質問」 [詩を読もう!シリーズ] 詩  高階杞一(たかしなきいち) 画家 おーなり由子 編者 水内喜久雄 白いキャンバスに浮かぶ、淡い水色の雲のような水彩画と、ブラウンの線で丸まって眠るように描かれた鳥。 空の装丁画に包まれた詩集には、表題作の「空への質問」の他にも、青...

「空への質問」 [詩を読もう!シリーズ] 詩  高階杞一(たかしなきいち) 画家 おーなり由子 編者 水内喜久雄 白いキャンバスに浮かぶ、淡い水色の雲のような水彩画と、ブラウンの線で丸まって眠るように描かれた鳥。 空の装丁画に包まれた詩集には、表題作の「空への質問」の他にも、青空、炎天、空の耳、風の五線譜、星の週末など空が題名の詩や、鳥、アリ、ムカデ、ミジンコ、プランクトンなどの生き物や木などの自然がよく出てきます。 2つだけ、ご紹介させてください。 ページを開いて、最初の詩です。 「準備」  待っているのではない  準備をしているのだ  飛び立っていくための  見ているのではない  測ろうとしているのだ  風の向きや速さを  初めての位置  初めての高さを  こどもたちよ  おそれてはいけない  この世のどんなものもみな  「初めて」から出発するのだから  落ちることにより  初めて本当の高さがわかる  うかぶことにより  初めて  雲の悲しみがわかる 子どもたちの新しいスタートに、贈りたくなる詩ですね。 もう一つは、ちょっと懐かしい日本の風景のような詩です。 「初夏」  郵便屋さんがくる  山の上からゆっくりと  夏をつれて下りてくる  水を張った田んぼには  白い雲が落ち  みどりの苗が  文字のように並んでいる  あれは  誰の手紙だろう      ゴメンネ 遅クナッテ  と  声がして  遠い  はるかな所から  郵便屋さんがやってくる  ぼくのポストへ  一歩一歩  夏といっしょにやってくる ジブリの世界が広がるような詩です。懐かしさもあり、ほっこりします。 (今はスマホでメッセージがおくれるので、郵便屋さんの手紙を待つ光景は、もう昔になってしまったようですね。ちょっぴり寂しくなりました。)

Posted byブクログ

2020/09/24

この方の詩集を一般書店で探していました。なかなかなくてたまたま行ってみた書店の棚に見つけたときはタイトルも見ず(!)手に取りました。 装丁も可愛らしい。フォントの色が濃い紺と言うか、青と言うか、何とも言えない良い色合い。 余白の生きる選色と思います。 平易な言葉で、紙面の余白を...

この方の詩集を一般書店で探していました。なかなかなくてたまたま行ってみた書店の棚に見つけたときはタイトルも見ず(!)手に取りました。 装丁も可愛らしい。フォントの色が濃い紺と言うか、青と言うか、何とも言えない良い色合い。 余白の生きる選色と思います。 平易な言葉で、紙面の余白を一杯とりつつ綴られた言葉たちは心の中の空間も広げていくかのよう。 タイトル通り、空を感じる詩が多い。 一見、何だか「自分にも書けそう」と思いますが極力言葉を減らしている感があり、ついいらない言葉を綴りがちな私たちにはたどり着きにくい感性の高みを感じます。 自分が良いと思った言葉を綴る作家さん、そしてそういう本を扱ってくれる本屋さんを大事にしたいと改めて思える一冊を手にすることができました。

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2020/07/28

繰り返し読んで、ひとつひとつの言葉から想像を思いきり広げて、ってやって初めて、その良さが理解されるものなんだらうな、詩って。

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