山口組四代目 荒らぶる獅子 の商品レビュー
客観性を保とうとしな…
客観性を保とうとしながら四代目竹中正久に魅了されている筆者の距離感がすごくいいです。対象に思い入れがあるといいものができるなぁ。
文庫OFF
決して反社会組織を肯定し賛美するような代物ではない。 溝口先生の書物を読むのは2冊目だが、あくまでも我々が知らない世界の事実だけを伝えるものである。 驚かされるのが、その取材量である。 生まれ故郷の旧友や恩師にまで取材しており、そこから起こされる文章はあたかも実際に見てきたかの...
決して反社会組織を肯定し賛美するような代物ではない。 溝口先生の書物を読むのは2冊目だが、あくまでも我々が知らない世界の事実だけを伝えるものである。 驚かされるのが、その取材量である。 生まれ故郷の旧友や恩師にまで取材しており、そこから起こされる文章はあたかも実際に見てきたかのような内容である。 とかく一般人とは縁のない世界の話、ここまでの取材と文章構成はさすが溝口先生としか言いようがない。 逆にいえば、任侠武勇伝を堪能したい方には、少々味気ないものかもしれない。 それは主人公の・・・言い方は悪いが「かっこわるい」部分も描写されているからでもある。 女性に対してシャイな人柄や、商売や博打が苦手、清貧で派手を嫌うといった部分だ。 我々一般人はそういう部分に人間味を感じ惹かれ、おもしろいと思うのではなかろうか。 そして、結末が分かっている、歴史は変えられないのに、 「あかん、そっち行ったらあかん」とその最後に感情移入してしまう。 最期も事実を伝えるのみで、淡々と進行し、過度に美化されたりドラマチックな演出もない。 膨大な取材から人間像に描いているが、あくまでも第三者からの言葉からであり、 実際本人がどう思い考えていたかというのは、少ない発言録から読み解くしかない。 そこが本書の良いとこでもあり、ぼやけているところかもしれない。 案外本人は「そんな細かいこと考えとらんわ」「ええ加減な事言うな、ほめすぎや」そういうかもしれない。
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世間のイメージに反して「理」を大切にしていた。望まずして頂点を極めた、ある種時代遅れの男。 相変わらず、溝口御大の文章はうまくない。 というか、この業界で達者な文筆家に会ったことはない。 接続詞の使いかたも構成も雑だ。 ただ、彼の真骨頂は対象を(しかもアングラな)捉えて離さない...
世間のイメージに反して「理」を大切にしていた。望まずして頂点を極めた、ある種時代遅れの男。 相変わらず、溝口御大の文章はうまくない。 というか、この業界で達者な文筆家に会ったことはない。 接続詞の使いかたも構成も雑だ。 ただ、彼の真骨頂は対象を(しかもアングラな)捉えて離さない マングース的なところにある。 だから、四代目の生き様は活写されているのだろう。 特に、良き所も悪しきところもフラットな立場から書いたというのは勇気がある。 田岡親分の自伝は、自己顕示欲にまみれて、汚い話はできない酷いものだった。 せせこましい姿が見え隠れしていた。 それに比べ、竹中正久は「清貧」であり、「反警察」であり、「シャイ」であり、「仁義」を通した男。 ただ、やっぱりそこから惹かれるものは少ない。 竹中正久という男の一本筋が見えづらい。 たとえば、彼だったらこういう状況にこういう判断をするだろうな、 という基準が見えてこないのだ。 見えてきたとして、それはずいぶん底の浅いもの――利益や女など に限られている。 堅苦しい世界で生きるカタギとして ヤクザに憧憬を覚えることは少なくないが、 その実態はまた別の法が支配する世界であるのだ。
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一言でいうたら、男だった、ということで死にたいわ…… 山口組四代目竹中正久、一和会の兇弾に斃(たお)れる!「一言でいうたら、男だった、ということで死にたいわ……」極道社会の頂点を極めた襲名からわずか202日。刺客に銃殺された竹中正久の壮絶な生きざまを、関係者の証言と綿密な取材で...
一言でいうたら、男だった、ということで死にたいわ…… 山口組四代目竹中正久、一和会の兇弾に斃(たお)れる!「一言でいうたら、男だった、ということで死にたいわ……」極道社会の頂点を極めた襲名からわずか202日。刺客に銃殺された竹中正久の壮絶な生きざまを、関係者の証言と綿密な取材で描く。溝口敦の山口組ドキュメント第2弾。
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山口組四代目組長竹中正久の生い立ちから一和会の凶弾に斃れる最後の日までを赤裸々に描き出した力作ドキュメント。戦後史に暴力団が果たした役割とその変遷が描き出されていて興味深い。また、四代目の人間的な魅力、反権力の筋を通した生き様についつい感情移入し肩に力が入る。ベラミ事件や四代目最...
山口組四代目組長竹中正久の生い立ちから一和会の凶弾に斃れる最後の日までを赤裸々に描き出した力作ドキュメント。戦後史に暴力団が果たした役割とその変遷が描き出されていて興味深い。また、四代目の人間的な魅力、反権力の筋を通した生き様についつい感情移入し肩に力が入る。ベラミ事件や四代目最後の日の描写は、あらかじめ顛末をわかっていてもついつい手に汗握り、「ああ、そっち行ったらあかん」と声をかけたくなるほどだ。それでもなお、この本で一番リアルであり凄みがあったのは、四代目の実弟である竹中組組長竹中武の手による巻末の解説である。『生(ナマ)』の迫力にドキュメンテーションが負けている。
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