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夢の時を求めて の商品レビュー

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2012/07/29

宗教の起源が――あるいは人間の起源が――どのように今まで記述されてきたかを捉えつつ、そもそも歴史に向き合う私達について反省的に論じるというのが本書の全体のテーマだろうか。 ここで主に論じられている論者はデュルケーム、ミュラー、フロイトだが、このうち最も力が入っているのがフロイト...

宗教の起源が――あるいは人間の起源が――どのように今まで記述されてきたかを捉えつつ、そもそも歴史に向き合う私達について反省的に論じるというのが本書の全体のテーマだろうか。 ここで主に論じられている論者はデュルケーム、ミュラー、フロイトだが、このうち最も力が入っているのがフロイトであり、同時に、一番個人的に馴染みのあるフロイトについて書かれた章が最も難しく感じた。 とはいえ、聖なるものを社会と結びつけたデュルケームしかり、言語学者と神話学者という両面を持つがゆえに聖なるものの上で”股裂き”になったミュラーしかり、トラウマという繰り返される起源を説いたフロイトしかり、「西洋人」は様々な角度を持って、起源を追い求めてきた。 このような思想家を見つめなおすことで、私達の見方を逆照射するということは、実証的研究が最優先され、もはや起源の研究が封印されてしまったかのように見える今だからこそ、必要なことなのかもしれない。

Posted byブクログ