不登校へのメッセージ の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
この本はタイトルの通り、不登校の子どもとその親へのメッセージという書き方で書かれていて、特に子どもに対してのメッセージが一段と多く、10章の内、7章が子どもたちに向けた書かれたメッセージだった。 子供達へのメッセージは非常に具体的で、書いてあることのほとんどが、「君は…であったでしょう」「君は…な性格のはずである」と言った、ちょっと決めつけとも思えてしまうほど、不登校になっている子どもたちの特徴を述べている。でもそこは社会心理療法研究所という場所で数々のケースを見てきている専門家なので、多くは的を得ていると思う。人によっては「決めつけて欲しくない」と思う場合もあると思うし、「自分のことが書かれているみたい、自分だけじゃないんだ」とホッとできる人もたくさんいると思う。 ここでは不登校の原因として、子どもは生まれた時から親からの無条件の関心・注目を求めていて、それが満たされると、人や世界に関して根本的信頼感が養われて、人に健全に甘えられる子どもになる。しかし、それが何らかの原因で満たされないと、自分は自分で守らないといけないと幼いながらに決意し、自分を守るために五感を発達させ、あらゆる刺激に敏感になり、親の顔色を伺うようになる。そのような子は学校でも人の顔色を伺うようになるので、どこかで疲れ果ててしまって不登校になる、ということだった。 8章からは親に対するメッセージをメインに進められる。親に対して不登校を解決する方法として、「何かをしてあげる」ことではなく、ただ心からの愛情で接することをすすめている。なぜなら、子たち達は今までありのままの愛情を感じてこれなかった為に、愛情を求めて、「これ買って」「こうして」と何か「もの」や「手段」を通して、愛情を得ようとするが、それは「代償」でしかなく、本当の意味では満たされないと言っている。本当に必要なことは、「ただ優しく、心から、名前を読んであげる」だけでよい。と述べている。 この本は常に淡々と事実を述べているので、客観的に自分たちを見られる一方、「母子関係が不登校の原因だ」と述べているので、特に親に関しては厳しいとも取れる言葉が多いく、ある意味ではこの本は読者を選ぶ本だと思う。
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