ゲーデルは何を証明したか の商品レビュー
本書の通読にこれまでの数学、とりわけ高度な数学を学んでいる必要はない。 数学ガールで初めて不完全性定理がわからなすぎて、愕然とした。また、先日は東の現代思想への言及で、何度もゲーデル的脱構築の表現が出てきてたが、いまいちしっくりこなかった。 そこで本書を手にした。結果は大正解...
本書の通読にこれまでの数学、とりわけ高度な数学を学んでいる必要はない。 数学ガールで初めて不完全性定理がわからなすぎて、愕然とした。また、先日は東の現代思想への言及で、何度もゲーデル的脱構築の表現が出てきてたが、いまいちしっくりこなかった。 そこで本書を手にした。結果は大正解だ。手加減せず、しかし、本質的に簡潔な記述だ。噛んで含めるように遅読すれば、得るところがある。訳も素晴らしい。
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この本の内容に入る前に、2つほど数学用語の定義。 まずは、公理について。公理とは、ある論理体系の最も基本となる仮定のことである。もっとも有名な公理の一つに、平行線公理「ある点を通って、ある直線に交わらない直線はただ一つ存在する」がある。これはユークリッド幾何学という論理体系の中に...
この本の内容に入る前に、2つほど数学用語の定義。 まずは、公理について。公理とは、ある論理体系の最も基本となる仮定のことである。もっとも有名な公理の一つに、平行線公理「ある点を通って、ある直線に交わらない直線はただ一つ存在する」がある。これはユークリッド幾何学という論理体系の中に含まれる数個の公理の一つである。 次は、定理について。定理とは、公理から論理的に導き出された事実である。平行線公理などのユークリッド幾何学の公理から導き出された有名な定理にピタゴラスの定理(3平方の定理)がある。 さて、本題。ゲーデルは、20世紀ベスト10に入るほどの天才数学者である。彼は、公理と、それによって組み立てられた論理体系である公理系、そして公理系に含まれる定理について、非常に深い考察を行い、「ゲーデルの不完全性定理」に到達した。これによると「すべての公理系は、真であるにもかかわらず、真と証明できない命題を含む」ことになる。まさに、論理の破綻点の予言であり、数学を崩壊させかねない事実である。数学史に残る多くの未解決問題は、この問題に取り込まれているのでは、と多くの数学者が疑うのもうなずけるほどの大問題である。 本書は、この定理について、非常に丁寧に、注意深く踏み込んだ、解説するのであるが、非常に難解である。難解であるがゆえに、また面白い。
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横書きのゲーデル本。前半では歴史的背景と哲学的な転機について書かれていて、中盤では形式論理の説明、終盤の不完全性定理の証明については、ゲーデル流の証明テクニックをそのまま追いかけている。内容は悪くはないけど、全体を通じた記述内容のアンバランスさが気になる。
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ゲーデルの不完全性定理の証明にまとを絞って解説した本。 ゲーデルの証明を理解することに力を注いでいるので、とてもわかりやすかったです。そして、ゲーデルがたどった論理の同じ道筋を、簡易ではあるけれどもたどらせてくれます。 ただ、後半の形式的論理を数学に写像するくだりからは議論が入り組んでいるので、何回か読み返してようやく理解できた、のか?という感じでした。これは個人的能力の問題です。 また時間をおいて読み返したい本でした。
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