静かな木 の商品レビュー

藤沢周平(著者)

2016/11/23

「岡安家の犬」「静かな木」「偉丈夫」の３作を読んだが、「静かな木」が特によかった。「藤沢ワールド」は歳がいくほど、味わい深くなっていくのはそれだけ人情の機微にあふれているからこそだと思う。年末年始にまた藤沢周平作品を静かに読みたい。

2016/02/15

藩の勘定方を退いてはや五年、孫左衛門もあと二年で還暦を迎える。城下の寺にたつ欅の大木に心ひかれた彼は、見あげるたびにわが身を重ね合せ、平穏であるべき老境の日々を想い描いていた。ところが……。舞台は東北の小藩、著者が数々の物語を紡ぎだしてきた、かの海坂。澹々としたなかに気迫あり、滑稽味もある練達の筆がとらえた人の世の哀歓。藤沢周平最晩年の境地を伝える三篇。