猫のムトンさま の商品レビュー
わたしがこの世でいちばん好きなねこちゃんは ムトンさまじゃないけど、 ムトンさまもだいぶいい。 老嬢が怒りすぎて口が悪すぎ、おいおいと気になりはしたが。 そこかしこに散りばめられたえちちな表現がとてもいい。 ムトンさまのお食事する様に老嬢がうっとりしてるとこは、スリルとサスペンス...
わたしがこの世でいちばん好きなねこちゃんは ムトンさまじゃないけど、 ムトンさまもだいぶいい。 老嬢が怒りすぎて口が悪すぎ、おいおいと気になりはしたが。 そこかしこに散りばめられたえちちな表現がとてもいい。 ムトンさまのお食事する様に老嬢がうっとりしてるとこは、スリルとサスペンスではないのだが、『pink』のユミちゃんとワニをおもいだした。(どちらもだいすき)
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素晴らしく美しい大きな赫毛の牡猫とそれに心酔し献身的に尽くす老嬢の物語であるが、さすがマンディアルグ、嗜虐的かつエロティックに描かれている。 訳者のあとがきでも指摘されているように、『仔羊の血』も思い出すが、私は『ロドギューヌ』にも思いが及んだ。彼の作品における、処女と獣という組...
素晴らしく美しい大きな赫毛の牡猫とそれに心酔し献身的に尽くす老嬢の物語であるが、さすがマンディアルグ、嗜虐的かつエロティックに描かれている。 訳者のあとがきでも指摘されているように、『仔羊の血』も思い出すが、私は『ロドギューヌ』にも思いが及んだ。彼の作品における、処女と獣という組み合せは興味深い。 娼館の描写もどこか幻想的で美しかった。
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フランスの作家、マンディアルグの処女作かとも言われる小品。 アンゴラ種の牡猫「ムッシュー・ムトン」と彼にかしずくように世話をする老嬢の物語。 仕えていた家の病弱な息子が亡くなった後、老嬢は奥様から猫のムトンさまをもらい受ける。「ムトン」とは羊の毛皮である。ムトンさまはすばらしく...
フランスの作家、マンディアルグの処女作かとも言われる小品。 アンゴラ種の牡猫「ムッシュー・ムトン」と彼にかしずくように世話をする老嬢の物語。 仕えていた家の病弱な息子が亡くなった後、老嬢は奥様から猫のムトンさまをもらい受ける。「ムトン」とは羊の毛皮である。ムトンさまはすばらしく大きなたっぷりとした赤毛の猫なのであった。 田舎の家に帰った老嬢は、ムトンさまに血の滴る肉を与え、シルク・モアレのお手製クッションをあてがい、修道女のように彼に仕える。 高貴なムトンさまは鼠などは捕らない。老嬢はわざわざ遊び道具として兎の脚を手に入れようとする。 彼女にとって大切なのは、猫が美しいこともさることながら、大きなことであった。娼館の猫がムトンさまより大きいという噂を聞きつけ、普段ならばとても足を踏み入れられないところに乗り込み、真偽を確かめようとする。娼館の絢爛・淫靡な描写は著者ならではといったところだろう。 恋の季節でムトンさまが留守にすれば、いてもたってもいられない。夜通しうろうろし、帰りを待つのである。 そんな彼女とムトンさまの「蜜月」は、一方の死によって終わりを告げることになる。幕切れの、乾いた筆致で描かれる絶望が印象的である。 総じて、微笑ましい物語と言えなくもないのだが、いささか曲者感が漂う。 たっぷりとした美しい猫。なめらかで手触りのよい毛皮をうっとりと撫でていたら、何かの拍子にご機嫌を損ねて、突然しゃっと鋭い爪に引っ掻かれる。そう、そんな猫そのもののような、気まぐれさと醒めた視線が感じられる。 挿絵もそれに沿って味わいがある。 もう1つ印象的だったのは、「触感」の描写。猫の毛皮のぬくもり、シルクのクッションの滑らかさ、薔薇色繻子の長椅子の座り心地。作者は五感のいずれも優れているのだろうが、本作では特に触感が際だっているように思われた。 本作はなかなか見つけられず、相互貸借制度で近隣の町立図書館から貸してもらった。古書店での扱いもあるにはあるが、さほど多くない。 出版元のペヨトル工房というのは、幻想文学や芸術系書籍の出版を手がけており、サブカルチャーにも大きな影響を与えたそうだが、創設から20年ほどで解散したとのこと。 この小さな本は、小さな町の図書館にそっと並び、そっと読まれるのを待っていたわけだ。私もまた、そっとそこに戻し、またいつか誰かがムトンさまに出会う日が来ることを祈ろう。
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巨大牡アンゴラ猫・ムトンさまにマゾヒスティックなまでに奉仕する老嬢の物語。ムトンさまは単に猫らしく振舞っているだけのようなのだが…。 猫好きにはたまらん可笑しさです。
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