ワイルド・スワン(上) の商品レビュー
母は、新しい支配者日…
母は、新しい支配者日本の過酷な占領政策を体験する。戦後、夫とともに共産党で昇進する母。そして中華人民共和国の成立後、反革命鎮圧運動の只中で著者は誕生する。
文庫OFF
執筆当初としてはこれ程細やかな文化大革命の様子が描かれ、世に出るのは稀だったのだろう。 それにしても今更ながらその辿ってきた激動の時代変遷と、人々の背負った大きな労苦には驚かされる。 只々思うのは、政治の恐ろしさ。
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日本と中国の戦争から、その後の国民党と共産党の争いまで、当時の共産党員の目線で綴られる。共産党の革命闘争は、規律を重んじ、農民と同レベルなストイシズムを強いた。また、階級闘争であったはずが、党の中に階級が存在し、上位者ほど、特権が与えられた。この事は、現代の貧富の格差に繋がる。ス...
日本と中国の戦争から、その後の国民党と共産党の争いまで、当時の共産党員の目線で綴られる。共産党の革命闘争は、規律を重んじ、農民と同レベルなストイシズムを強いた。また、階級闘争であったはずが、党の中に階級が存在し、上位者ほど、特権が与えられた。この事は、現代の貧富の格差に繋がる。ストイシズムを強いた階級には、とことん厳しくなり、特権階級は、それを変えようとしない。問題は多様だが、その後の鄧小平にせよ、底上げを図らなかった事にある。いや、図れなかったが正しいか。この図れない根本が人口問題にある。 本著の面白さは上巻ではないのだろう。まだまだ序曲という感じだ。ノーベル賞受賞者の莫言も合わせて読めば、より、当時の中国が肌に感じて分かるだろう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
大躍進政策の描写は凄まじい。嘘だと思うようなアホな政策が進められ、いったいどれだけの人が飢えて死んでいったのだろうか? 序盤の「纏足」についての記述が具体的に書かれており、学校教育で学ぶ「纏足」という意味に終わらず、とても生々しく感じる事が出来た。確かに、小さい時に足を締め付けても、何もしなければ大きくなるよね。一つひとつの事をきちんと理解する必要性を感じた。
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二十世紀中国の激動を生き抜いた親子三代の物語.上巻は祖母と母の苦難が克明に描かれている.異常な時代,異常な社会に翻弄される姿に,本当に現実の物語なのかと,目を疑ってしまいました.日本人として,恥ずべき内容も描かれてるが,目を背けず,機会があれば,ぜひ読んでみて欲しいと思いました....
二十世紀中国の激動を生き抜いた親子三代の物語.上巻は祖母と母の苦難が克明に描かれている.異常な時代,異常な社会に翻弄される姿に,本当に現実の物語なのかと,目を疑ってしまいました.日本人として,恥ずべき内容も描かれてるが,目を背けず,機会があれば,ぜひ読んでみて欲しいと思いました.では明日から中巻を読みます.
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恥ずかしながら、「文化大革命」というとと江青が浮かぶくらいの知識しかなかったが、こんなことがあったのかというくらいの衝撃を受けた。 翻訳本は苦手だが、3冊何とか半月がかりで読み切った。
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革命前夜から文革時代までの、著者の祖母、母そして著者の実体験が綴られ、中国現代史を一国民の目から見ることができます。 しかも著者は女性でありながら、改革開放が始まると英国留学のチャンスを自分の力で勝ち得、当時の中国では非常に特異であったグローバルで公平な視野と価値観を手に入れられ...
革命前夜から文革時代までの、著者の祖母、母そして著者の実体験が綴られ、中国現代史を一国民の目から見ることができます。 しかも著者は女性でありながら、改革開放が始まると英国留学のチャンスを自分の力で勝ち得、当時の中国では非常に特異であったグローバルで公平な視野と価値観を手に入れられた、まさに稀代の人物と言ってよいでしょう。 そのような著者が語る真実は、歴史の学習などというレベルをはるかに超えて大きな衝撃と感動を与えます。 現代中国を知りたい方は必読です。
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再読。学生時代に読んだが、必要があってまた手に取った。文庫本の序文が加えられていて、イギリス留学時の当局の監視と、それをかいくぐって著者がボーイフレンドを作った所はなかなか面白い。70年代末、国外に留学していた中国人にも「学習」の時間があったとは驚いた。
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そう遠くはない過去に、隣国でこのような事実があったことを直視させられる、親子3代の物語。究極の状況の中で、人は尊厳をどこまで守れるのか。映画『ラスト・エンペラー』にも出てきた文化大革命の本当の姿が映し出されている。
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@yonda4 会社の上司から薦められて読んでみました。 著者ユン・チアンの祖母、母、著者の三世代に渡って語られる中国。 急速な自由化が進んでいる中国ですが、近年の歴史に本書の出来事が本当にあったことを頭に入れていたいですね。 本書を読むと「中華人民共和国」は国家として成...
@yonda4 会社の上司から薦められて読んでみました。 著者ユン・チアンの祖母、母、著者の三世代に渡って語られる中国。 急速な自由化が進んでいる中国ですが、近年の歴史に本書の出来事が本当にあったことを頭に入れていたいですね。 本書を読むと「中華人民共和国」は国家として成立していないのではないか、と疑問がでてくる。フリー百科事典「ウィキペディア」で「共和国」を検索すると次の定義がある。 「共和国(きょうわこく、republic)とは、共和制をとる国家のこと。君主制国家(帝国・王国など)に対置する概念であり、君主を置かない国家を指す。」 この定義と中華人民共和国は矛盾している。毛沢東は暴君以外の何者でもなく、中国は共和制どころか中国共産党の一党独裁で、民主主義のかけらもない。毛沢東と彼の側近が私利私欲を追求しただけの国家が、成り立つわけがない。 不思議に思ってしまうのは、なぜこの中国人民が毛沢東の暴挙に疑問を持たなかったか。文化大革命を行うときの毛沢東の言葉「まず破壊せよ。建設はそこから生まれる」を人民はなぜ信じたのか。毛沢東が言葉巧みに煽動したこともあるだろうが、結局、破壊しただけで新たな価値は生まれてこなかった。毛沢東は一体何をしたかったのだろう。自分の都合のいいことだけを行っていたことは間違いないが、国民を欺き、国家を混乱に陥れた大変な罪人である。 この毛沢東の愚行に疑念を抱いたのが、著者の父親であり、著者だった。父親の張守愚には同情を禁じ得ない。彼は自分たちの生活がより良くなることを信じ、共産主義の理想を追い求めたが、毛沢東に裏切られた。最後には「もう共産党を信じなくていいぞ」と娘に言うくらいだ。生涯の信条を否定することなど簡単にできるものではない。その父の姿をみて、著者も毛沢東のマインドコントロールから解けていく。 物語の最後では、中国の外の世界に希望を見いだし、ロンドンへ旅立つ。結果、本書が生まれた。本書を上梓したことも著者の半生を否定する行為であると思う。その意味では、文化大革命の一部なのかもしれない。 毛沢東の死後、中国も自由化が急速にすすみ、本書のような歴史があったのが嘘と思えてしまうが、中華人民共和国の共産党独裁は健在である。天安門事件、最近ではチベット自治区問題。中国政府の都合の悪いことは武力で鎮圧し、人民の心を一つにするために反日を推進する。私は中国に対して、良いイメージは持っていない。しかし、中国の中でも現在の中国の在り方に疑問を持ち、行動している人達が当然いることも意識しなくてはならない。
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