ピュロン主義哲学の概要 の商品レビュー
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200年頃に活動していたらしい、懐疑哲学者セクストスが書いたピュロン主義哲学の概説書。ピュロン主義哲学は何事も把握できないため、すべてに対して判断を保留しそれによって精神の安定を得るという立場であり、アカデメイア派の懐疑主義とは異なるらしい(アカデメイア派は判断「できない」というはっきりした立場をとり、保留するわけではない)。 ほかの哲学の立場は何かが存在し、何らかの判断基準があるという前提でそれぞれの主張を展開しているが、懐疑主義は実はそれらは全く存在しないのではないかという反対の主張をぶつけることですべての真偽を不明にし、判断保留へと持ち込む。この本では、ほかの哲学主義の流派に従い、論理学、自然学、倫理学の順に何もかもの存在を論駁していくのだ。 その中身は「アキレスと亀」並みの詭弁・強弁のオンパレードで読んでいると疲れてくるが、とにかくすべてに疑問符をつけてあやふやにしていくという目的は達成しているのかもしれない。判断保留で精神が安定しているというよりは精神を安定させるために判断保留を無理やりにでもするといった印象だが、なんにせよその存在を疑ってみるのはちょっと面白いかも。
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メモ→ https://x.com/nobushiromasaki/status/1789186050499518858?s=46&t=z75bb9jRqQkzTbvnO6hSdw
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