朱夏 の商品レビュー
希望を胸に渡った満州…
希望を胸に渡った満州。敗戦、そして満人の暴動、略奪、飢餓、伝染病など、想像を絶する過酷な状況に絶え生き延びる綾子。誰もが自分一人が生き抜くことに精一杯の状況下で、苦労知らずに育った綾子が熾烈な状況を何度も超えていく姿に哀しみや強さを覚えました。
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考えさせられます。満…
考えさせられます。満州開拓団の人々の戦中、戦後。命からがらの引き上げ。敗戦をはさんでの死生観・国家意識の変化が関心深い。読み応えあります。
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作者の分身、綾子が結…
作者の分身、綾子が結婚後、大陸にわたり、新しい生活を夢見るが・・・。苦労知らずで育ったお嬢様が、生きることにどん欲に、必死に成長していく様が感動的です。
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2023/11/3 読み終わった 宮尾登美子の自伝的小説、全部読む。春燈に続き。 「櫂」、「春燈」とは全く異なる読書体験だった。戦時下そして戦後すぐの満州が舞台で、しかも敗戦後は難民として生き延びる。この流転は、「櫂」と「春燈」を読んでいればなおさら、綾子の人生を翻弄する戦争と...
2023/11/3 読み終わった 宮尾登美子の自伝的小説、全部読む。春燈に続き。 「櫂」、「春燈」とは全く異なる読書体験だった。戦時下そして戦後すぐの満州が舞台で、しかも敗戦後は難民として生き延びる。この流転は、「櫂」と「春燈」を読んでいればなおさら、綾子の人生を翻弄する戦争と時勢の力強さ、抗い難さが沁みる。 宮尾さん一流の、壮麗ながらも自然な言語表現が素晴らしい。めちゃくちゃ美しい、絹織物を見ているような感覚。これは男性作家では今まで得られなかった感動だった。ここで例を挙げても安っぽくなってしまうので、ぜひ宮尾さんの文章に触れてほしい。こういう文章を書きたいと思う。
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なんというか‥ずしーんと来る小説だ。事実に基づいた私小説なので、こんな地獄のような生活が実際にあったのかと、衝撃から平常心に戻すのにしばらく時間がかかりそうだ。私ももう結構な年齢の上に本好きなので、戦争に関する大抵の知識はあるはずなのだが、満州に渡った人の経験を綴ったものを読ん...
なんというか‥ずしーんと来る小説だ。事実に基づいた私小説なので、こんな地獄のような生活が実際にあったのかと、衝撃から平常心に戻すのにしばらく時間がかかりそうだ。私ももう結構な年齢の上に本好きなので、戦争に関する大抵の知識はあるはずなのだが、満州に渡った人の経験を綴ったものを読んだことがなく、ここまで過酷な日々を送られていたのかと、今更ながら戦争の副産物の恐ろしさを感じた。つらい体験を思い起こしてペンを取るのは、さぞや痛みを伴ったでしょうに、よくぞ書いてくださったと作家さんに感謝し、リスペクトしたのは初めてだ。引いては宮尾作品に導いてくれた林真理子先生にも感謝する。 喜び勇んでたどり着いた夢の地、満州は土でできた暗く不潔な家で、黄砂や寒さ、飢えとまともに向き合わなければいけない、お嬢様育ちの綾子には耐え難い環境だった。それでも敗戦が知らされるまではまだ人間らしい生活ができた。日本が負けたと同時に満人が立ち上がり、日本人から受けた屈辱を一気に晴らそうと暴挙と化した。広い大地の一角で、日本人同士狭い部屋で片寄せあって外界からの危険に震える日々。満人暴君、野犬、ソ連軍。連れ去られたり、暴行を受けて死んだ人も数知れないでしょう。片手に剃刀を持ち、辱めを受けるくらいなら自決の覚悟。水なし、食料なし、おむつも小水の方だとそのまま乾かして使う。髪を梳くとシラミがパラパラと‥。 飲馬河から営城子へ、死の危険が去ると、今度は飢えが重くのしかかってくる。そして狭い部屋で同室しなければならない他人との人間関係。気の強い綾子にとっては、文句を口に出さないことはさぞかし苦しいことだったでしょう。衝撃的だったのは、自分達が生き延びる手段として子供を売ってしまう人が少なからずいたこと。でもそれを責められないと思う。誰だってその過酷な環境に立ってみれば、子供をお金に変える誘惑に苛まれたかもしれない。現に綾子自身も、売りはしないが子供を持っていることで保険的な安心感を感じている。 日本へ引き上げが決まってからも悲喜こもごも。家族によっては残留を余儀なくされている人たちもいるし、病人や老人を生き埋めにして殺してから帰る人たちもいたりと、最後まで残酷がつきまとう。 よくぞ生きて帰って、このつらい経験を素晴らしい表現力で書き残してくださったとまた改めて感謝する。
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生きる動機は皆違う。 自分の産んだ子がかけがえのない宝だと思う人もいれば、それさえ手放しても今の飢えから逃げたいと思う人がいたとしても、非難することはできない。 そういう時代があったんだと思った。
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『櫂』『春燈』に続く綾子ものである 17歳で結婚、開拓団と共に教育者の夫と赴任した満州 渡ってすぐに敗戦を迎えたヒロインは 「無条件降伏」の日本はとうに無くなっていると思わされ ユダヤ人のように流浪の民になって 帰るところも無い、満州にも留まれない どこにも行き場がない上...
『櫂』『春燈』に続く綾子ものである 17歳で結婚、開拓団と共に教育者の夫と赴任した満州 渡ってすぐに敗戦を迎えたヒロインは 「無条件降伏」の日本はとうに無くなっていると思わされ ユダヤ人のように流浪の民になって 帰るところも無い、満州にも留まれない どこにも行き場がない上に 着の身着のまま 赤ん坊をかかえ 食料も水も足りなく 寒さ厳しい、荒涼たる土地 中国の国民軍と八路軍の争いに巻き込まれ 命の保証はない過酷な難民生活 日本人も難民を経験したのだ すさまじきこと半端ではないが 苦労の末、幸運にも生き残って帰国 作者の経験を昇華させた その1年5ヶ月を物語る 小説は作者の精神の履歴をも表す 勝気でわがまま、世間知らずのお嬢さんが 自立してゆく過程が作者の小説神髄だと思う 読み手としてはそのわがままぶりが 『櫂』『春燈』までは反発を覚え、わたしはいやだった あいかわらず この作もそこが嫌味に思うのだが (著者はわざとそうしてるのかも?) 『朱夏』に至って 戦争時代状況のむごさによって矯められていく描写 その筆力に圧倒された ひるがえってわたしは ドキュメンタリーで知る満州開拓団の苦労、悲劇よりも 強く強く印象付けられる 今も世界のそちこちでこの苦しみは絶えまなくある
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20190610?-0623『櫂』『春燈』に続く著者の自伝的小説。生後間もない娘とともに夫の赴任先である満州へ渡った綾子は18歳。わずか数か月後に敗戦を迎えるとは思ってもみなかっただろう。難民同様になって故郷に引き揚げるまでのわずか1年半を圧倒的筆致で描いている。しかし、どうにもこの主人公綾子を好きになれない。我儘すぎるし傲慢だしwとはいえこの先綾子がどうなっていくのかは気になるので、次は『仁淀川』ですねー。 敗戦直前に満州に渡るなんて・・、という感想は、私たちは後から事実を知っているからだ。当時の国民はろくな情報も与えられなかったのだろうな。
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綾子が嫁いだ後、戦争が終わろうとしている最中で満州へ向かうことに。 綾子が貧困や飢えを経験しながら、徐々に荒んでいく心の様子、どん底の生活の中で見つけた自分の喜びを見つける。 徐々に大人となっていく綾子の姿がうっすらと写し出されている。
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あまり面白くなかった。積ん読で終わりにする。 評判よいのは不思議。小説を読み慣れているのか、こういう小説が好きなのか、とにかく私には苦痛であったので、半分で断念した。その間「花戦さ」を2日で一気読みし、やはり面白い小説は面白いと思わされ、本書を読む気が削がれた。自己鍛錬や忍耐で読むのはやめた。 文章が長すぎで、資料的にも得るもの少なく読むのが苦痛だった。娯楽的にも楽しめず、読む必要なし。
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