河津聖恵詩集 の商品レビュー
大学でドイツ文学を専攻した人だからか、高校生のころに初めて買った詩集が谷川俊太郎の『うつむく青年』だったというのが信じがたいほど、響きの硬い、息苦しい詩を書く詩人だなと思った。作者のまなざしが詩的な思弁へと彫琢される際、同時に「自意識の鬱陶しさ」みたいなものが副産物として生まれ、...
大学でドイツ文学を専攻した人だからか、高校生のころに初めて買った詩集が谷川俊太郎の『うつむく青年』だったというのが信じがたいほど、響きの硬い、息苦しい詩を書く詩人だなと思った。作者のまなざしが詩的な思弁へと彫琢される際、同時に「自意識の鬱陶しさ」みたいなものが副産物として生まれ、それが読み手にとっての違和感・異物感として詩文の跡にわだかまる。そんな独特の「引っ掛かり」が、好きになれなかった。「言葉は他人に伝わらなくてよいという独我論を、詩の流れのいくつもの箇所で正当化してしまう」という瀬尾育生の評が的確。
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