1,800円以上の注文で送料無料

書痴斎藤昌三と書物展望社 の商品レビュー

4

1件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    1

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2017/08/18

大正末期から昭和初年にかけて、円本ブームが巻き起こった。 その仕掛け人でもあるのが本書で取り上げられている斎藤 昌三である。 元々は好事家とでも言うのだろうか。性神の研究に端を発し、 発禁本の蒐集・研究、蔵書票の蒐集などで知られる人だ。 その斎藤昌三と交遊のあった著者が、昌三...

大正末期から昭和初年にかけて、円本ブームが巻き起こった。 その仕掛け人でもあるのが本書で取り上げられている斎藤 昌三である。 元々は好事家とでも言うのだろうか。性神の研究に端を発し、 発禁本の蒐集・研究、蔵書票の蒐集などで知られる人だ。 その斎藤昌三と交遊のあった著者が、昌三の生涯と作品、 昌三同様に書物を愛した「書痴」たちをの交友を描いている。 書物雑誌の発行も行った昌三だが、彼が主催した書物展望社は 凝った装丁の限定本・豪華本を世に出した。 この作品中の何点かが口絵カラーで掲載されているのが嬉しい。 使用されている素材が番傘だったり、新聞紙だったり、竹だったり。 相当に手間暇かかった装丁である。今はもう出来ないだろううなぁ。 しっかりとした製本を出来る人もいないだろうし。 百貨店での古書店開催を発案し、発禁本を集めて発行し(勿論、 後に発禁)、書物展望社から出した凝った装丁本を自ら「ゲテ 装丁」と呼び、次々に書物雑誌を発行し、書物の世界にどっぷり とつかった人。 斎藤昌三の名前は知っていたが、奇人の代表とも言える三田 平凡寺や淡島寒月とも交友があったとは知らなかった。 奇人は、奇人を呼ぶのかな。平凡寺とは袂を分かったようだ けれど。 尚、本書の著者、神保町の生き字引と呼ばれた「日本古書通信」の 八木福次郎も昨年鬼籍に入った。あちらで昌三と再会し、古書談義 に花を咲かせているのかな。

Posted byブクログ