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モーツァルトおもしろ雑学事典 の商品レビュー

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2024/10/28

ヤマハミュージックメディアが出版した多数の「おもしろ雑学事典」シリーズのうちの1冊。このシリーズの中で、作曲家の本はバッハ、モーツァルト、ベートーヴェンだけである。その中では一番出来が良い。 というのは、バッハとベートーヴェンは、その生涯をあっさりと追う形式で書かれており、バッハ...

ヤマハミュージックメディアが出版した多数の「おもしろ雑学事典」シリーズのうちの1冊。このシリーズの中で、作曲家の本はバッハ、モーツァルト、ベートーヴェンだけである。その中では一番出来が良い。 というのは、バッハとベートーヴェンは、その生涯をあっさりと追う形式で書かれており、バッハとベートーヴェンの評伝を何冊も読んでいるような中級者以上の人にとっては、浅い内容で物足りない。つまり、入門者のみが楽しめるような本であった。 それに対し、本書、モーツァルトだけは、その生涯を軽く紹介するという形式を採っていない。下記に転載した章立てを見てもらえばわかる通り、トピックスごとにまとめてあり、多様性がある内容で、すでにモーツァルトに親しんでいる人にも楽しめる構成となっているからである。 ******************** 第1章:神童時代のエピソード集 第2章:モーツァルトの不思議な家族模様 第3章:モーツァルトの生涯に登場した人々 第4章:"奇蹟の音楽家"モーツァルトの創造 第5章:モーツァルトに栄光と悲劇をもたらしたウィーン 第6章:死んだモーツァルトの残したものは・・・ 第7章:現代に生き続けるモーツァルト ******************** もちろん、神童時代のエピソードやウィーン時代の出来事は、モーツァルト・ファンにとっておなじみのものであるが、例えば1770年、ヴァチカンでアレグリの「ミゼレーレ」を暗譜し、楽譜を完成させたエピソードでも、生涯を追う形であれば、”門外不出の「ミゼレーレ」をたった一度聴いただけで覚えてしまい、宿に帰ってから楽譜に書いて、後日帽子に楽譜を隠して持ち込み完成してしまった”くらいの記述であっさりと通り過ぎてしまだろうが、本書では、この時代、「ミゼレーレ」は手書きの楽譜の形で他にも伝えられていたことや、作品自体よりも演奏の仕方の方が重要だったことなどにも触れられており、駆け足で生涯を辿るだけよりは、多角的で深い内容になっている。このため、入門者以外でも楽しめるのである。 執筆陣は、モーツァルトではおなじみの安田和信氏や、東京書籍の「モーツァルト事典」の執筆陣のメンバーである永田美穂氏や、渡辺千栄子氏であり、信頼のおける人たちである。

Posted byブクログ