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お腹召しませ の商品レビュー

3.6

23件のお客様レビュー

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2009/10/07

うーん、浅田次郎大ファンの私ですが、これはちょっとダメだった。 全体的に難解でページを繰って戻らなければならないことがしばしば。 それに物語の最初と最後に現代に連れ戻されるのも、なんだか無理やり現実に連れ戻されるような興ざめな感じがしないでもないし。 わけもわからず斜籠の練習をや...

うーん、浅田次郎大ファンの私ですが、これはちょっとダメだった。 全体的に難解でページを繰って戻らなければならないことがしばしば。 それに物語の最初と最後に現代に連れ戻されるのも、なんだか無理やり現実に連れ戻されるような興ざめな感じがしないでもないし。 わけもわからず斜籠の練習をやらされる殿様の話「安藝守様御難事」はおかしみがあって好きだった。 ただ私は歴史にはまったく素養もないけど、浅田次郎の小説だったら読める。 浅田次郎の小説は多くの人に歴史の門戸を開いてくれてると思う。

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2009/10/04

短いエッセイとそれから派生する時代物の短編。構成としては面白いけど、短編はどれも人間関係が入り組みすぎていてやや難解。

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2011/08/01

こういう形態の小説って珍しいと思う。浅田氏が祖父から聞いた昔話を核にして、想像の羽を広げて創造した 時代小説 である。で、それぞれの章の前後に祖父とのやり取りと解説が書かれている。あぁ こういう風に小説って作られていくものなのだ と別の楽しみもできたりして。浅田的人情物語 江戸末...

こういう形態の小説って珍しいと思う。浅田氏が祖父から聞いた昔話を核にして、想像の羽を広げて創造した 時代小説 である。で、それぞれの章の前後に祖父とのやり取りと解説が書かれている。あぁ こういう風に小説って作られていくものなのだ と別の楽しみもできたりして。浅田的人情物語 江戸末期の何となく覇気の無いゆるりとした武士の本音の日常 と言った感じか。基本は笑いなのだけど 5章目の「江戸残念考」は思わず目頭が熱くなってしもうた。

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2010/05/25

浅田さんの近作。2006年刊。Wikiによると、こちらの本で 第1回中央公論文芸賞 と 第10回司馬遼太郎賞 を受賞しているらしい。短編6つ、なんだけれど、この物語を思いつくに至った浅田さんの人生背景みたいなものがまず描かれて、作品によっては、物語のあとに、その後を作者みずから想...

浅田さんの近作。2006年刊。Wikiによると、こちらの本で 第1回中央公論文芸賞 と 第10回司馬遼太郎賞 を受賞しているらしい。短編6つ、なんだけれど、この物語を思いつくに至った浅田さんの人生背景みたいなものがまず描かれて、作品によっては、物語のあとに、その後を作者みずから想像するようなエッセイがついてる。さらに、巻末に「跋記」として、この本を刊行するにあたっての思うところを記してらっしゃいます。こういうスタイルは新鮮だなー。どうやら、このようなスタイルで『五郎治殿後始末』という時代短編集が先に出ているようなので、そちらも探してみなきゃ。。 浅田さんの時代物、まだほんの数冊しか読んでないんですが、ハマりますね…。いまと常識も環境も全く違った昔むかしでも、大事なものは変わらないってことを、教えてくれる気がする。サムライの時代の小説は、死んでナンボみたいな生き様を美談に書かれているものが多いけど、浅田さんの作品は、覚悟はありながらも、命とか生とか愛とかに執着するありのままの人物が多く出てくる。それが魅力かなと思う。 「お腹召しませ」 もほんとなら、そういう台詞が出る武家の妻は鑑でもあるんだろうけど、浅田作品にはどうも冷たいコミカルなかんじで読めてしまう。 全部良かったんですが、イチバン、ずば抜けて、 『女敵討』 これはもう、浅田作品のなかでダントツ1位に躍り出ました。これは登場人物の全員の気持ちがわかる。おちかも、きさぶも、貞次郎も、おすみも。女として、人として。 誰かを思いやる気持ちも、身勝手な自分にたいする負い目も、大事なものを掴もうとする必死さも。最後の おすみが “とりあえず”笑顔を繕うところで大号泣。 私さいきん浅田短編を読んでは泣いてる気がするなー。 浅田さんの作品は、終わり方が絶妙なんですよね。語りすぎず、浅すぎず。名人芸だと思います。笑顔のいい女は必ず幸せになる、と 閉める前に作者自ら物語後の未来を予想しているのもまた心地いい。この作品は絶対映画か舞台になると思うなー。 私のなかでは珠玉の大傑作!です。 

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2009/10/04

さすがに浅田氏は「幕末から明治維新」の時代を書くのはお手の物。 浅田氏本人が祖父から聞いた昔話が元になっており、一話一話(短編)のプロローグ、エピローグに浅田氏本人が顔をみせ、小説の着想を種明かしされているのもおもしろい構成です。 巻末「跋記」の中にとても興味深い事が記してありま...

さすがに浅田氏は「幕末から明治維新」の時代を書くのはお手の物。 浅田氏本人が祖父から聞いた昔話が元になっており、一話一話(短編)のプロローグ、エピローグに浅田氏本人が顔をみせ、小説の着想を種明かしされているのもおもしろい構成です。 巻末「跋記」の中にとても興味深い事が記してありました。 「私は子供のころから、文学が好きで歴史も好きだった。だがふしぎなことに、この二つの興味を融合した歴史小説は好まなかった。自由な物語としての文学様式を愛し、一方では真実の探求という歴史学を好んでいたせいである。 つまり、小説はその奔放な嘘にこそ真骨頂があり、歴史学に嘘は許されぬと信じていたから、歴史小説を楽しむことなどできるはずはない。 小説として読めばわずかな学術的説明も邪魔に思えてならず、また歴史として読めば処々に腹立たしい記述を発見してしまう。自分が歴史小説なるものを書くにあたって、最も苦慮した点はこれであった。 嘘と真実とが、歴史小説という器のなかで何ら矛盾なく調和していなければならぬ。これは奇跡である。」 「嘘と真実とが、歴史小説という器のなかで何ら矛盾なく調和していなければならぬ」 これこそが歴史小説ファンの最大の楽しみなんですよね。 ますます浅田さんの歴史小説から目が離せません!

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2009/10/04

●ううむ、やはり浅田次郎は一流の小説職人ですわ。 家が破産し一家離散後、あばら家で祖父と暮らすことになった浅田少年が、祖父から聞いた物語を書き起こした、と言うていの時代小説短編集。 現在の視点に遠い昔のおはなしを引きつけて書く手法は、どうも小説世界に入り込めない気がして好きではな...

●ううむ、やはり浅田次郎は一流の小説職人ですわ。 家が破産し一家離散後、あばら家で祖父と暮らすことになった浅田少年が、祖父から聞いた物語を書き起こした、と言うていの時代小説短編集。 現在の視点に遠い昔のおはなしを引きつけて書く手法は、どうも小説世界に入り込めない気がして好きではないんですが、これは別にしときたい。 ●お勧めは・・・む、どれもお勧めだな。 アベレージ高い短編集ですが、私の好みであえて挙げれば、『安芸守様御難事』とか? 一介の家臣の子だったのに養子縁組のおかげであれよあれよと家格が上がり、ついには芸州広島藩の当主になってしまった新人お殿様が、わけもわからず謎の訓練をさせられるお話ですよ。 いやあ、こう言うお殿様、いいねえ(笑) 彼を取り巻く曾祖母様やお側役のじいもいい味出しとります。 つか基本的に、どの作品もユーモアがあって温かいんですよ。 さすが『プリズンホテル』の作者だぜ!o(`ヘ´) 文章も大変端整なので、ストーリーだけ追うのではなく、じっくり鑑賞しつつ読んでいただければ幸い。 いいなあ、こう言うのが職人の仕事ってやつだよ。 あとがきもご一読下さい。気持ちはわかる。(←ま、えらそうに☆)   ●池波正太郎や藤沢周平ほど枯れてない浅田次郎の人情話。 そこがいい。 今後もこの路線で行っていただきたいものです。 いつか文化勲章とか紫綬褒章とかもらってほしいなー。うむり。 (国民栄誉賞はちょっとイメージ違うんだよね。内閣総理大臣表彰ですしねえ。)

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2009/10/04

軽めの人情時代劇。それぞれの話の導入が面白かった。中身は可もなく,不可もなく。「お腹召しませ」は切腹を前にいろいろ理不尽さに気付き,妻子の冷たさもなんとなく滑稽で,まぁ,死なずにすんでよかった。

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2009/10/07

中央公論に掲載した「お腹召しませ」「大手三之御門御与力様失踪事件之顛末」「安芸守様御難事」「女敵討」「江戸残念考」「御鷹狩」六作品の短編集。 普通の時代小説と違うのは、短編でありながら、それぞれ書き始めの経緯、あとがき付きです。ある意味、語りかけみたいな印象を受けます。 まぁ、面...

中央公論に掲載した「お腹召しませ」「大手三之御門御与力様失踪事件之顛末」「安芸守様御難事」「女敵討」「江戸残念考」「御鷹狩」六作品の短編集。 普通の時代小説と違うのは、短編でありながら、それぞれ書き始めの経緯、あとがき付きです。ある意味、語りかけみたいな印象を受けます。 まぁ、面白かったのは「お腹召せませ」と「女敵討」で、浅田次郎は気楽、適当に読めばいいよって笑ってる感じ。浅田次郎ファンにとってはこちらから来たかという興味はありますが、そうでないと面白みが判らないかも・・

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2009/10/04

【2006.07.12.Wed】 『五郎治殿御始末』に続く明治維新という大きな転変に翻弄された武士たちの話。明治維新とはもはや私たちの中では歴史上の出来事に過ぎない。しかし、浅田次郎はこう言う。「誰しも父祖の記憶をたぐれば、、明治維新という時代がさほど遥かなものではないことに気づ...

【2006.07.12.Wed】 『五郎治殿御始末』に続く明治維新という大きな転変に翻弄された武士たちの話。明治維新とはもはや私たちの中では歴史上の出来事に過ぎない。しかし、浅田次郎はこう言う。「誰しも父祖の記憶をたぐれば、、明治維新という時代がさほど遥かなものではないことに気づき、愕然とする」と。今では武士といえば、どこかストイックな男性的な印象を持ったりしてしまうが、明治以前武士が世の中に溢れていた頃には、心の弱い武士もいたかもしれない。いてもおかしくはない。私の中で歴史上でしか生きていなかった武士という存在が命を吹き込まれたかのように鮮やかに目の前に現れた。彼らは決して格好言い訳ではない。でも、とても温かい心を持つ人間である。私たちと同じ人間である。

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2009/10/04

 切腹といえば、覚悟を決めた武士が辞世の句などを詠み桜の花が散る如く潔く腹を召すイメージがありますが、そんな潔い人ばかりじゃなかったんだという人間くさい物語です。ひょんなことから御家断絶の危機にさらされた当主の主人公は断絶させるか、腹を切って家を守るか選択を迫られます。妻と実の娘...

 切腹といえば、覚悟を決めた武士が辞世の句などを詠み桜の花が散る如く潔く腹を召すイメージがありますが、そんな潔い人ばかりじゃなかったんだという人間くさい物語です。ひょんなことから御家断絶の危機にさらされた当主の主人公は断絶させるか、腹を切って家を守るか選択を迫られます。妻と実の娘はなんの迷いもなく主人公に切腹を勧めます。男の弱さと女のたくましさを感じた一冊です。

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