信長とは何か の商品レビュー
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・既存の権威を容認してそれによる権威付けを図ることは簡単だが、それではいつまでも同じことの繰り返しで新しい権威は生まれてこない。一度は権威を受容するが、周囲に実は権威があるのは自分なのだと認めさせることで新たな権威となる可能性が生まれる。 ・桶狭間で勝ったことで信長−家康の同盟が生まれた。 ・16世紀なかば頃には平城から山城へ。軍事機能の強化に加え、家臣団を集住させて権力の集中を図る動き。 ・信長の楽市楽座政策は、都市建設のために特定の都市の場に出された時限的な特許状。岐阜では城下町の一部を対象とし、安土では城下町を対象として商職人を吸収した。 ・15世紀前半は2つの土一揆。1428年の象徴の土一揆と、1441年の嘉吉の土一揆。15世紀なかばは京都にものが入らなくなり、経済的に衰退。 ・15世紀前半から半ばにかけて、中央の求心的な構造が解体し、地域社会を中心にした構造へ転換していく。政治的にも、例えば関東では鎌倉公方が室町幕府に反旗を翻す永享の乱(1438年)や奉公衆(将軍の直属の家臣)の没落があった。応仁の乱後、守護は幕府を見限って下向し、領国単位の地方政権が目指される。 ・戦国時代の始まりの頃には経済は回復に向かい、新たな果実を誰が取るかという調整が暴力的な形で進んだのが戦国時代。 ・一揆というのは土豪を含む武士階級が他の村民と共に政治的・軍事的な集団を形成するものであり、信長が目指した「地域から武士階級を切り離して(兵農分離)主従関係を築く」スタイルとは相容れなかった。 ・信長は1573年に義昭を追放したあと公家になり、81年には天正伊賀の乱で国人一揆を壊滅させた。地域的なもの・一揆的なものに対する最後の大弾圧。 ・82年に武田勝頼が自刃。信長は東国に覇権を及ぼし、毛利氏制圧に向けて西向かったところ、本能寺の変となる。 ・室町的な横並びの世界に対し、戦争に勝って中央から軍隊を派遣するピラミッド型の権力構造を志向した信長に対する拒否反応が本能寺の変につながったとみる。
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本書は城下町の歴史が専門の著者が信長とは何かを問い直した本である。 織田信長を論じた本はいくつもあるが、本書は切り口が面白い。信長の城下町、楽市楽座の本質など興味深い。 【以下、再読の感想】 天下統一は必要だったのか? 「武」の人信長。 「力」のみを信じ、戦国大名でただ一...
本書は城下町の歴史が専門の著者が信長とは何かを問い直した本である。 織田信長を論じた本はいくつもあるが、本書は切り口が面白い。信長の城下町、楽市楽座の本質など興味深い。 【以下、再読の感想】 天下統一は必要だったのか? 「武」の人信長。 「力」のみを信じ、戦国大名でただ一人、天下統一をめざした男。 だが「力」に拠るものがいずれ「力」に倒れるのは必然であった。 天下統一は必要だったのか? その日本史上の意義とは何か? 「信長」を根本から問い直す画期的論考。 第一章 「大うつけ」若き日の信長 第二章 桶狭間 第三章 天下布武 第四章 岐阜城の信長 第五章 岐阜城下と楽市令 第六章 上洛 第七章 信長の敵ー戦国時代とは何か 第八章 合戦と講和 第九章 公家になった信長 第十章 安土城下町①城と家臣 第十一章 安土城下町②町と楽市令 第十二章 本能寺の変ー信長を殺したもの 初見は2009年。なかなか面白い内容でした。今回再読しましたが 結構内容を忘れているものです。 以下、備忘的に 有力武家の館は室町幕府の将軍邸が規範となっており、花の御所に似 せた館をつくっており、こうした館を持つことが、大名としての権威 を保つ上で必要だった。 斎藤道三との聖徳寺の会見のエピソードより、うつけ姿ではなく正装 で現れたのは「出来ないからやらない」ではなく「出来るけどやらない」 岐阜城でのエピソード。城下町からみた信長像が面白い。 「正目、縦位置、三カ条」という室町幕府が定めた書札礼に則った制札 を使用している。 将軍邸の造成。幕府であり将軍の館であるということを表象するため、 庭は不可欠の装置だった。「藤戸石」や「九山八海」といった名石が 細川邸や東山殿という室町幕府の権威を象徴する場所から運ばれてい るのも正当な権威を継承する場であることを示すシンボルなのである。 「天下統一」は必要だったかという問いかけはなかなか面白い。 今でこそ、戦国大名の誰もが天下統一をめざしたという見方は見直され つつあるが、歴史小説の影響は根強く無意識に先入観を持ってしまう。 理由もなしに中央の権威をふりかざし敵を滅ぼそうとする信長に付いて いけない勢力が敵対する。その行き着く先が明智光秀による謀反だと しており、考え方としては説得力を感じる。 信長は天才だったのか。私は過大評価されていると思うが、早い時期に 天下を統一するという意図を持ったという点。実行した意思の強さは 評価されるべきだと思う。
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