リリ・ヤーンの手紙 の商品レビュー

マルティンデリー(著者),山下公子(訳者),泉晶子(訳者)

2016/06/25

当時の大多数の人は労働教育収容所が何をするところなのか想像すらできなかったが、ゲシュタポは1940年ごろ、既にこの施設を国内のあちこちに作り始めていて、そのかずは最終的に200か所以上にのぼった。ｋの施設の目的は労働義務を果たしていないとみられる人々を罰し、規律に従うようにたたきなおすことにあった。対象となった人の大半は外国人労働者で強制労働を実際に拒んだか、または拒んだという名目で収容された。カッセルの南、グックスハーゲンにあったベネディクト派ブライテナウ修道院の中には既に19世紀、物乞いや放浪者のための宿泊作業所があった。ナチスは1933年から翌年にかけてここを臨時強制収容所として使い、1940年5月以降、労働教育収容所とする。それ以来、カッセルのゲシュタポは次々にブライテナウに保護拘留者と称する囚人を送り込んだ。こうして拘置所と化したかつのて修道院は、ついに公然と「強制収容所の前段階」として機能しはじめた。