河道変遷の地理学 の商品レビュー
木曽川の話は面白く、土地勘もあるので、1586年洪水や境川のこと、犬山の扇頂より下流でも分派してたこと、傾動運動のこと、佐屋川の開削と廃川のことなど、よく頭に入ってくる。 (逆にいうと土地勘のない他の河川の話は、なかなか具体的に理解するのが難しいのだけれど・・・) 山からでて、...
木曽川の話は面白く、土地勘もあるので、1586年洪水や境川のこと、犬山の扇頂より下流でも分派してたこと、傾動運動のこと、佐屋川の開削と廃川のことなど、よく頭に入ってくる。 (逆にいうと土地勘のない他の河川の話は、なかなか具体的に理解するのが難しいのだけれど・・・) 山からでて、扇状地があるかないかとか、自然堤防がどの程度あるかとか、谷底平野や峡谷の有無や地質条件との関係とか、あるいは古来~近世の河川・流域とのかかわりとか・・・。 他にも、天井川はじめ堆積傾向の河川と侵食傾向の河川といった類型化であるとか、それを踏まえた被災傾向、さらにはそれらを探る上での旧河道のこととかその推定法など、勉強になる。 こういう大きなスケールの話も重要。もっといえば、列島のなりたちとか地質学的なことよりはイメージしやすく、河川技術者にとってもぜひ読んだら良いと思える一冊なのである。 ざっとでも、読んでおいてよかった。 河川技術者ということでいえば、9章「人為的原因による河道変遷」は、関心事としてのクライマックス。 大河津分水路のことはもとより、中部の川である狩野川(放水路)や庄内川(新川)のことについて、地形的な成り立ち含めて学ぶことができてよかった(思いがけず、蛭が小島のことまでも!)。 あえていえば、放水路の開削とかが「河道特性」にどう影響(インパクト)を与えたかという観点が、もっと充実していてほしかったけれど・・・。
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