福沢諭吉「学問のすすめ」 の商品レビュー
チコちゃんは聞きます。 「学問のすゝめ」は何を書いている? 「学問のすゝめ?知ってるよ。天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず、というヤツでしょ?明治の四民平等を広めた人だよね」 そんな風にドヤ顔で答えてくる一般人のなんと多いことか。 ボヤーっと生きてるんじゃねーよ! ...
チコちゃんは聞きます。 「学問のすゝめ」は何を書いている? 「学問のすゝめ?知ってるよ。天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず、というヤツでしょ?明治の四民平等を広めた人だよね」 そんな風にドヤ顔で答えてくる一般人のなんと多いことか。 ボヤーっと生きてるんじゃねーよ! その人に聞きます。「貴方は学問のすゝめを最初から最後まで読んだことがありますか?」 おそらくほとんどの人は読んでいない。私も、大学のゼミで、半年かけて読むまでは、福沢は四民平等を訴え、自由民権運動を理論面から支えた人だと思っていた。ところが、最後まで読むと福沢は自由民権運動にほとんど関心を持っていないことがわかる。何故こんなことになったのか? 理由はある。福沢諭吉は、話しこどばで学術書を書いた先駆けであり、本書は明治のベストセラーになったので、簡単に読めるとみんな勘違いしているのだ。いざ紐解くと、かなり高度で幅広い問題を論じているので、ほとんどの人が途中で挫折するのである。或いは最初だけ読んで理解した気になっている。それは「読んだ」とは言わない。 「四民平等」の「権理」(権利)を述べたのは、ほぼ最初のみ。 そのあと、「自由」と「わがまま」の違い、や「政府が産業を起こすべきか」「民間が産業を起こすべきか」とか、国民はこれから「実業」を学ぶべきだとか、「人と人との付き合い」は「国と国との付き合い」につながるし、「一身独立」してこそ「一国独立」する、というような、現代でも「意見の分かれる事案」ではあるが「重要なこと」をつらつら、ほぼ4年間(1872-76)かけて書いている。全17巻の啓蒙書集である。明治時代初めてのベストセラーだった。一巻20万部も発行された。全て合わされば340万部も国内に出回ったという。当時の出版事情、識字率を考えれば、ものすごい影響力を持っていたとは言えよう。 結果的に明治時代のブルジョワ資本主義を理論面から支えたのかもしれない。その方向が正しいのかどうか、そもそも日本は福沢の思った方向に行ったのか、その辺りを検証しようとすると、物凄く難しい学術書にならざるを得ない。 福沢は「もし、国民が全員学問に志して物事の道理を知り、文明の風潮に進むならば、政府の法もいっそう寛大で情け深いものとなるでしょう。法が過酷になるか寛大になるかは、国民の品性によってどちらかの傾向が強まるのです」(佐藤訳)という。 だから富国強兵は、福沢の当然の帰結であったし、イギリスの属国に成り下がったインドなどは絶対避けたい国の姿でした。 この方向に、第二次世界大戦の日本の悲劇があると思っている私には、やはり漢文調の本を書き続けていた中江兆民の「小国主義」を対置してしまう。 「学問のすゝめ」は何を書いている? 一言では表せない、明治時代初めての国のグランドデザインを書いていた。
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生きていくうえでのヒントになるような言葉がちりばめられている。 次は現代語訳ではなく、原文で読んでみたい。
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現代語に訳してあるので読みやすい。陳腐な言い方だが100年も前の人の言葉とは思えない。この本の内容を知ることが目的ならば、がんばって原書を読むよりもオススメ。福翁自伝も面白かったが、私はこの本を読み、考え方を知り、一気に諭吉ファンになった。
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諭吉さんのご本。優しい言葉で書かれてあったから、読みやすかったです。諭吉さんの全てに賛同はしませんが、為になる事も書かれてあります。でも、結局は「実行力」なんですよねぇ。。。
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なぜ学問をするのか。そして、学問を修めた者の責務とは何なのか。福沢諭吉はその答えを、「文明の進歩のため」そして、「国家の独立を得るため」としている。 学んだものは、活かさなければならない。少し学んだだけで、それをただのステップにして職に就き、日々の暮らしを保つのに腐心するだけ...
なぜ学問をするのか。そして、学問を修めた者の責務とは何なのか。福沢諭吉はその答えを、「文明の進歩のため」そして、「国家の独立を得るため」としている。 学んだものは、活かさなければならない。少し学んだだけで、それをただのステップにして職に就き、日々の暮らしを保つのに腐心するだけでは、個人はそれでいいだろうが、文明が進歩するのに寄与するには至らない。福沢は例として、世の中のすべての人が、自分の家計をやりくりすることのみを考えていたとしたら、新しいものは生まれることなく、ずっと同じ文明水準のまま時代が過ぎて行くだろうとしている。 原書は明治初期に著されたものである。元々、小冊子のような形で短い論評を断続的に発行した、「シリーズ本」であったようだ。発行当初のコンセプトは初学者に向けたメッセージであり、子どもに向けて話すような非常にわかりやすい内容であったが、次第に近代社会のあり方について、日本の当時置かれていた状況に強い危機感を持って読者に訴える内容となっている。 そして、福沢が原書中で日本の将来について心配した内容は、後年になっておよそその通りの形で日本を狂わせ、現代に至っている。当時の学者とは、ここまで国の行く末を見ることができるほど学問を究めていたのかと唸らされたほど、福沢の指摘は的を射たものである。 現在の日本はどうだろうか。福沢が主張した「国家の独立」は少なくとも保たれているとは言い難い。学問は文明を拓くためにではなく、大学の名前を得るために行われている。それをどこにも活かさずに仕事をし、まさに家計のやりくりに腐心するのみの人間が大多数である。 全体が豊かになったことで、日本人は後ろ向きになったのではないだろうか。まさに今、文明を拓いた人々の論考に触れ、行動を起こすことが我々に、特に若い世代に求められているのではないかと考える。 なお、本書の現代語訳は非常にこなれていて、やさしい言葉遣いになっているので大変読みやすい。これなら、中高生が読むのにも入りやすいと思われる。
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国の自立の為には個人の自立が不可欠。 諭吉は国民皆が学ぶ事で国全体が西欧列国に並ぶよう、市民には実学をすることをすすめ、学者には役割を全うするよう訴えた。 また、政治・法律については国と個人の役割分担を解説し、国のするべきことを個人が行う事の罪についても触れている。 訳がやさし...
国の自立の為には個人の自立が不可欠。 諭吉は国民皆が学ぶ事で国全体が西欧列国に並ぶよう、市民には実学をすることをすすめ、学者には役割を全うするよう訴えた。 また、政治・法律については国と個人の役割分担を解説し、国のするべきことを個人が行う事の罪についても触れている。 訳がやさしく誰でも読める内容なので、一読しといて損はないと思う!
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