チャイナハンズ の商品レビュー
ずっと前の新聞記事整理してて、書評見つけて今さら読む。米中が微妙な今、読んで面白い本。見つけて良かった。 著者は1928年生まれのアメリカ人。中国に駐在した石油会社社員を父に持ち、青島で生まれ育った中国通。1930〜40年頃の中国の様子がリアル。ドイツやらイギリスやらが租界を作り...
ずっと前の新聞記事整理してて、書評見つけて今さら読む。米中が微妙な今、読んで面白い本。見つけて良かった。 著者は1928年生まれのアメリカ人。中国に駐在した石油会社社員を父に持ち、青島で生まれ育った中国通。1930〜40年頃の中国の様子がリアル。ドイツやらイギリスやらが租界を作り、ロシア人は中国人並みに貧しい立ち位置。日本人は威張って中国人を抑圧し、「中国はこの先どうなるのだろう」というような雰囲気。1940年頃にアメリカに戻った家族の描写は生活に不自由はないものの痛々しい。大学卒業間近の兄フランクはスポーツ万能で詩を愛する青年だったが、平和主義者で良心的兵役拒否を望んでいて、時代が時代だけに臆病者扱いされることを恐れていた。活発で社交的で家族の中で輝かしい存在だったのに、進路のことは誰とも真剣に話し合えなかった。日本の真珠湾攻撃があると、イエール大学は若者を軍隊により早く送り込むために大学を3年で終了させるコースを採用し、フランクは数ヶ月早く卒業させられた。軍隊はロマンティックな人間が身を置く場所がないと手紙をよこしたが、任務で中国語を学習し始めると新たな情熱を持って取り組んだ。 怖いね、アメリカだって戦争が始まったら同調圧力があるよね。戦争で死なず、パートナーにも出会え結婚したフランクなのに、広島を訪れて瓦礫だらけの町、不正をする米兵に心を痛め自死してしまう。あまりにも繊細で、たぶん戦争中のPSTDもあったのだろう。悲しすぎる。 著者は「フランクはセンチメンタルになりすぎた」と考えて、その後の中国の仕事にもその思考が活かされているように思う。それでも本書のかなりの部分をフランクの話にさき、実際著者にとってこのテーマを書くにあたりフランクとの思い出はかなり深い基礎になっていて読者の私の心にも大きく響いた。
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[紅き噴火口の上で]青島で生まれ育ち、東南アジア諸国や韓国での諜報・外交活動に携わった後、駐中国・米国大使として活躍したジェームズ・リリーが記した回顧録。一筋縄ではいかない中国との駆け引きがどのように展開され、著者がその中でどのような役割を担ったかが詳述されています。訳者は、共同...
[紅き噴火口の上で]青島で生まれ育ち、東南アジア諸国や韓国での諜報・外交活動に携わった後、駐中国・米国大使として活躍したジェームズ・リリーが記した回顧録。一筋縄ではいかない中国との駆け引きがどのように展開され、著者がその中でどのような役割を担ったかが詳述されています。訳者は、共同通信の特派員として活躍された経験を持つ西倉一喜。原題は、『China Hands: Nine Decades of Adventure, Espionage and Diplomacy』。 「よくここまで表に出してくれたな」というのが率直な第一印象。特に天安門事件に際して米国大使館がどのように対処したかについてのくだりは十二分に一読の価値があると思います。そしてスパイ小説を凌駕するかのごとき展開に驚嘆させられること間違いなし。また,回顧録が当事者の弁明になってしまう場合がありますが、本作はそのような陥穽を見事に逃れることに成功していると思います。 〜私は結論として「私たちは中国を根本的に変えたり、へし折ったりすることはできない。せいぜい少しだけ曲げようと試みるべきである」と書いた。〜 予想以上に興味深い一冊でした☆5つ
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駐台、駐米大使などを歴任したジェームズ・リリーの回想録。 歴史に埋もれたような細かな事実も面白いが、アメリカ人のアジア専門家の歴史観がひしひしと伝わってくるのが秀逸。
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CIA→外交官という波乱に満ちたキャリアの持ち主の半世紀で非常に面白かった。特に天安門事件は著者が直接体験した一大事件だっただけに、詳筆してあり非常に勉強になるとともに興味深かった。なんとなく時間に追われて読んだ感があったので、もっとじっくり読みたいね。
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