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公共哲学(16) の商品レビュー

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2009/10/04

まず、「公共」という言葉に違和感を持つ方もおられるだろう。「公」という響きは画一的な価値観を押し付ける国家権力をイメージさせるかも知れない。しかしここで論じられている公共は、いわゆる公(国家)とは似て非なるものである。それは元来、市民社会の政治学の中から出てきたもので、国家と個人...

まず、「公共」という言葉に違和感を持つ方もおられるだろう。「公」という響きは画一的な価値観を押し付ける国家権力をイメージさせるかも知れない。しかしここで論じられている公共は、いわゆる公(国家)とは似て非なるものである。それは元来、市民社会の政治学の中から出てきたもので、国家と個人の間にある「社会」の豊かさを表そうとする概念だ。しかし近年、政治学にとどまらず様々な学問領域で注目されるに至っている。 本書は多様な(プロテスタント、カトリック、クエーカー、仏教、神道、イスラム教、そして無宗教という信仰の立場において多様な、そして神学や宗教学、哲学や政治学など専門分野において多様な)人々による共同討議の記録だが、そのこと自体が公共を体現している。そこで提起された公共とはすなわち、多様性を積極的に評価しつつ、他者と対話することで自他共に変えられ、互いに高め合うことを目指すものなのだ。本書は各発題とそれを踏まえた討議も収録されており、参加者の息づかい溢れるその現場に読者を誘ってくれる。 なお本書は多様なテーマで論じられている公共哲学シリーズの1冊であり、キリスト者が公共哲学の世界に分け入るよすがとなるだろう。

Posted byブクログ