熱狂する社員 の商品レビュー
THE ENTHUSIASTIC EMPLOYEE: How Companies Profit by Giving Workers What They Want ― http://www.eijipress.co.jp/book/book.php?epcode=1080
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一、全体として何に関する本か 著者は88カ国、二三七社におよぶ民間企業、公的機関、非営利団体の二五〇万人の被雇用者を対象に調査を行った。アメリカンエクスプレスやバンク・オブ・アメリカ、スターバックス等、注目に値する長期的な好業績を見せた企業は、業種、所在地、ビジネスモデルの特徴...
一、全体として何に関する本か 著者は88カ国、二三七社におよぶ民間企業、公的機関、非営利団体の二五〇万人の被雇用者を対象に調査を行った。アメリカンエクスプレスやバンク・オブ・アメリカ、スターバックス等、注目に値する長期的な好業績を見せた企業は、業種、所在地、ビジネスモデルの特徴を見ても、共通点はほとんどない。しかし、一つだけ共通点があり、それが「社員の士気」である。著者の考えでは、長期的に好業績を上げる会社の秘密は社員の士気であり、士気の高い情熱的な社員を育む企業の経営について書かれている。 二、何がどのように詳しく述べられているか 人は仕事や職場に何を求めているのか?それは「公平感」「達成感」「連帯感」の三つしかなく、この三つ全てを満たすことが、真に長期的な好業績を上げる企業としての必要条件であり、情熱的な社員を育むことができる。 「公平感」は正当な生理的条件(職場環境や労働条件など)や正当な雇用保障や給与水準などから生まれる。「達成感」は仕事自体のやりがいや仕事の重要性、会社への誇りなどから生まれる。「連帯感」は個人として仕事をしているのではなく、チームとして仕事をしているという実感から生まれる。 この中で最も重要な要素は「公平感」であり、社員が根本的なレベルで不公平感を持っている環境では、たとえ会社がやりがいのある仕事を与えても社員のやる気を喚起することはできないという。 ただし、ここでの「公平感」は皆が平等であり、手厚い雇用保障で守られていることを指しているわけではない。社員は誰でも、人によって能力の違いがあることを認めているし、その能力によって正当な評価をされるべきだと分かっている。 三、その本は全体として真実か、どんな意義があるのか 改革が成功した企業における共通点は、いずれもアクションはまず経営陣が始め、しかも彼ら自らが持続させているということである。トップから始めることで、改革に対する真剣さが社員に伝わる。社員はもともと仕事も会社も好きな存在であり、自らが情熱的な社員になれる環境を望んでいる。トップが本気で改革を行うことを示せば、社員は必ずついてくるという著者の考えは、大企業であっても適応されるはずだ。 四、一番面白かったのはどこか、なぜ自分は面白かったのか 社員の情熱とコミットメントを引き出すには管理を減らすことが重要だという。官僚主義の会社は、何もかもが規則で縛られており、何をするにも規則に従わなければならない。それは結局、会社が社員を信頼していないと感じ取らせるものであり、社員の情熱を奪ってしまう。社員は、会社から信頼されることを何よりも望んでるのだ。 例えば、自社の例で考えると「飲酒運転の根絶」などがたびたび周知されるが、これらはあまりにも社会人として基本的なことであり、逆に、社員が会社から信頼されていないと感じ、会社への誇りや忠誠心を失わせる要因になっているのではないかと思える。 確かに、飲酒運転をしないことは大変重要なことであるが、社会人として当たり前の事まで指導することで、社員の情熱を奪うという負の要因もあるのだと本書を通して感じるようになった。
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プレジデント2010/08/30号、木村惠司・三菱地所社長原題"The Enthusiastic Employee: How Companies Profit by Giving Workers What They Want"
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