話す科学 の商品レビュー
リチャード・ドーキンス、ジョン・メイナード・スミスをはじめとした13人の一流科学者へのインタビュー集。著者はBBCの科学番組で司会者をしているフリーランスのキャスター。テレビ畑の人だけあって、みーーーーーーーーーーーじかい分量で、その人のおいしいところをぎゅっと詰めようという意...
リチャード・ドーキンス、ジョン・メイナード・スミスをはじめとした13人の一流科学者へのインタビュー集。著者はBBCの科学番組で司会者をしているフリーランスのキャスター。テレビ畑の人だけあって、みーーーーーーーーーーーじかい分量で、その人のおいしいところをぎゅっと詰めようという意図が見える。でも、それが成功しているかというと……ちとツライ。どっちかというと、研究の中身を見せるとか、科学のおもしろさを伝えるとかじゃなくって、その研究者の人生を見せるという方面に引っ張られている。「話す」というコミュニケーション形式は、情報密度的に言えばやはりウスい。まぁ、タイトル通りなのだが……図表やイラストがあればもっと内容豊かに伝えられるだろうにと思ってしまう。 でも、入り口として面白い話もあるのは確か。たとえばローレンス・グレアムという人に「ソ連の科学史」について聞いた話は興味深かった。ソ連の科学がもっとも輝いていたのは、警察国家だった時代-国家のバックアップで研究費は潤沢だったが、つぎつぎに科学者が投獄されていた時代だった。1991年以降、ロシアの科学者は「自由」を手に入れたが、科学成果は非常に低調だ。どうやら科学にとっては「自由」よりも「お金」のほうが重要らしい……と、残念そうにグレアムが話している。マルクス主義は科学の邪魔になっていたか? たしかにゆがんだ部分はあったが、確実にプラスに働いた部分もある。キリスト教は科学に有益か? 地動説をとなえたばかりに協会権力によって処刑された科学者もいる。思想や宗教と科学との関係を歴史的に考えるというのは、かなり面白い分野ではないか。 科学の読み物として薄味すぎる……という欠点はありつつ、やはり一流の科学者が話すことは内容がある。 ここからとっかかるには、悪くない本かもしれない。(参考文献のリストが欲しいところだが)
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この本が「パルサー発見でノーベル賞を取りそこなった女子大生」から始まっているのは大正解だと思う。 科学者であることは単なる職業以上の投資が必要だということがよくわかるし、同時にそれは大変なことだけれども「天文学的に」というほど大変なわけではないということも実感できる。 基本的...
この本が「パルサー発見でノーベル賞を取りそこなった女子大生」から始まっているのは大正解だと思う。 科学者であることは単なる職業以上の投資が必要だということがよくわかるし、同時にそれは大変なことだけれども「天文学的に」というほど大変なわけではないということも実感できる。 基本的にどんな分野であれ専門家の話というのは面白い。 当人が変人であればあるほどなおよいが、幸運なことに科学者には変人が多い。 たぶんそれは変人というのが、極めて合理的であることと非常識であることを併せ持った人だからだろう。 だからこそ我々一般人がはっとさせられるような発言が飛び出したりする。 科学にとって大事なのは自由か、金か。 つい情緒で答えてしまいそうなこういった疑問にも彼らは容赦ない。 事実はときに胃が痛くなるようなものだが、不思議な事に少し時間がたつと胃薬のようにスッと気を楽にしてくれたりもする。 科学の発見や新技術には幸も不幸もない。 ならば、とりあえず面白がるしかないじゃないか。
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世界で活躍する13人の科学者へのインタビューを綴った一冊。 論文のような知識だけでない、科学者それぞれの生の声が詰まっています。
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色々な分野の専門家が、インタビュー形式でわかりやすく答えています。この中で、20世紀は化学や物理学だったが21世紀は生物学の時代になるのではないだろうかとありました。いろんな分野が、融合しあってこれからの世界が少しずつ明らかになっていくのだと思います。
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