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本当に「中国は一つ」なのか の商品レビュー

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3件のお客様レビュー

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2016/12/14
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※このレビューにはネタバレを含みます

[柔軟か、空漠か]冷戦を背景として米国と中国が接近を試みる中で、台湾に関して用いられるようになった「一つの中国」という考え方。以後のアメリカ政権の対両岸政策の基礎ともなっているこの考え方の要点を改めて指摘しつつ、それを新たな時代に合ったものにすべしと再考を迫った様々な論文などを収録した作品です。編者は、国務省に在籍した経験を有し、ハーバード大学で修士号を取得しているジョン・J・タシク・ジュニア。訳者は小谷まさ代と近藤明理の2名。原題は、『Rethinking "One China"』。 なかなか正確に把握することが難しい「一つの中国」という考え方をしっかりと解説してくれており、それと並行して(特に台湾をめぐる)米中関係についても説明が加えられているため、米中間の外交を把握したい人には非常に有益な作品だと思います。台湾関係法の日本語訳などの基礎資料も併せて収録されていますので、中国や台湾に関心がある方は手にとって損がないはずです。 〜我々は結局、間違った予測を固く信じこんでしまったために、台湾問題に関して、文言と外交の深い落とし穴にみずから入りこんでしまったのである。簡単な解決法は現れそうもない。〜 元手に議論をするために適した一冊☆5つ

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2009/10/04

American Foreign PolicyのONE CHINAペーパー用。 ちょっと台湾問題に詳しくなった気分。

Posted byブクログ

2009/10/04

アメリカ人が書いた本なんで、日本人目線ではないっす。 以下、概要。 ○ジョージ・W・ブッシュ大統領は演説の中で世界平和と安全保障の基軸としての「三本の柱」を強調。 1、国際機関は世界が直面している問題(核拡散防止を含む)に一丸となって取り組む 2、侵略や悪を抑止するためには...

アメリカ人が書いた本なんで、日本人目線ではないっす。 以下、概要。 ○ジョージ・W・ブッシュ大統領は演説の中で世界平和と安全保障の基軸としての「三本の柱」を強調。 1、国際機関は世界が直面している問題(核拡散防止を含む)に一丸となって取り組む 2、侵略や悪を抑止するためには、武力行使も辞さない 3、アメリカが民主主義を世界に広める 北京の指導者たちは台湾は中国の一部だと主張する「一つの中国の原則」を主張しているが、この原則は、「三本の柱」と相容れない。 理由↓ 1、北京は台湾の国際機関への加盟を事実上全て妨害している。 台湾が加盟する数少ない国際会議に対しても、ルールを侵してまで各期間に圧力をかけている。 さらに台湾は通常兵器やミサイルなどを製造しているにも関わらず、中国の妨害によって、核不拡散体制にも参加できないでいる。 2、北京の独裁政権が、民主主義の台湾を脅し続けている。 香港やマカオと同じ「1国2制度」方式で台湾が中国の支配下に入らなければ、武力行使も辞さないとしている。 3、アメリカは民主主義を世界に拡大する立場。台湾は現在民主主義国家であるため、アメリカは台湾を保護しなければならない。 「一つの中国の原則」を認めることはすなわち、台湾に対する中国の武力威嚇を正当化することになる。 だから、アメリカが唱えてきた「一つの中国」というリップサービスは、台湾を擁護しないというメッセージを北京に与えていることになる。 台湾側は、平和的対話を求めているのに対し、中国側は「台湾が服従しない限り、対話はしない」の一点張り。 このような強気な態度を崩さないのは、アメリカの「一つの中国」政策が中国を支持するものだと確信しているためである。 アメリカの「一つの中国」政策とは次によって定義。 1、3つの共同コミュニケ 2、台湾関係法 この政策をさせる要素として3つが挙げられる。 1、武力行使に対する反対 2、台湾の独立への不支持 3、6つの保証への支持 3つの共同コミュニケでは、台湾を中国の一部だと認めるかどうかはあえて回避されている。 上海コミュニケでは、「中国人が台湾が中国の一部だと主張していることを認識し、アメリカは異議を唱えない。」とし、 国交樹立に関するコミュニケでは、「中国の立場をアメリカは承認する。」とし、 米中コミュニケでは、「台湾問題はアメリカは干渉する気はないし、台湾人民に圧力をかけたりはしない。」としている。 ○アメリカはその国内法(台湾関係法など)において、台湾を中国から独立した国家として扱っている。 また防衛上の必要性から「非NATO主要同盟国」という待遇を与えている。 しかし外交面においては、国交樹立をや国家承認を規定したアメリカの法律は台湾には適用されないとしている。 にもかかわらず、アメリカの「一つの中国」政策は、十分な定義や説明がなさないまま、民主主義の台湾を共産主義の中国の一部だとみなしているかのような印象を与えてきた。 アメリカが台湾の経済、軍事、戦略、政治、外交、商業などあらゆる分野において、台湾を独立国として扱っているのは紛れもない事実。 台湾を中国の一部として扱っている国など存在しない。 中国でさえ台湾を自国の一部として扱っていない。 その証拠として台湾には中国の政府機関も軍隊も企業もいまだかつて存在したことがない。

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