ノンちゃん雲に乗る の商品レビュー
「ひみつの王国 評伝 石井桃子」を読んで、ぜひもう一度再読しなければ、ということで半世紀ぶりに。先ず内容の前に、この本を読んでいた家の縁側の板の間の感触が蘇ってきてびっくり。同時にこの本って面白いのか面白くないのか、いまいちモヤモヤが残った読後感も思い出しました。その頃、子供向け...
「ひみつの王国 評伝 石井桃子」を読んで、ぜひもう一度再読しなければ、ということで半世紀ぶりに。先ず内容の前に、この本を読んでいた家の縁側の板の間の感触が蘇ってきてびっくり。同時にこの本って面白いのか面白くないのか、いまいちモヤモヤが残った読後感も思い出しました。その頃、子供向けのハラハラドキドキワクワクの後味のはっきりした本を好んでいたような気がして、「ノンちゃん雲に乗る」ってなんか子どもの本の顔しているけど、ちょっと難解、って感じたのだと思います。実は、今回も同じ感覚でした。でも、その訳はよくわかります。このお話が、子どもに向けて書かれているものではなく、作者が結婚まで考えた男性の従軍を慰めるために書かれたものであること、作者の大親友の女性の闘病中の心の救いだったこと、そして出版界の先輩たちが、このお話を本にするために戦前、戦後通して一所懸命になったとこと、を「ひみつの王国」によって知っています。子どもに書いたお話というより、大人に、いや大人のなかにずっと身を潜めている子ども性に向けて書いたものだからの複雑さ、なのだと思っています。「大人になってからのあなたを支えるのは、子ども時代のあなたです」とは作者の言葉です。逆にいうと子ども時代には、子どもバンザイだけではない、大人のほろ苦さも吸収しておかなければならない、ってことなのだと思います。いい家族、良い子、嫌なこと、生きることと死ぬこと…優等生の論理では足りない大人の世界。本書も実は戦争前の凪な時間の物語であり、それが最終章では戦争と関係してきます。オヤツ読書ばかりしていた半世紀前の自分にとって本書が滋味深いスープ読書であったことが、確認できました。
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●2008年7月10日読了 小学2年生になったばかりの主人公の女の子が、雲に落っこちて そこで出逢ったおじいさんに身の上話や家族のことを話す物語。 家族の温かみを感じます。 最後ちょっとだけ切ない…かな?
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