憲法はむずかしくない の商品レビュー
池上彰の憲法解説。だいたいニュートラルな立場から、憲法について考えるときの基礎知識を教えてくれる。子供向けに書いたらしいが大人でも読める内容だと思う。そもそも日本人ってそこまで憲法っていうのを意識しないから、大人も高校生の公民レベルでも認識にそこまで大きな開きがないような気がする...
池上彰の憲法解説。だいたいニュートラルな立場から、憲法について考えるときの基礎知識を教えてくれる。子供向けに書いたらしいが大人でも読める内容だと思う。そもそも日本人ってそこまで憲法っていうのを意識しないから、大人も高校生の公民レベルでも認識にそこまで大きな開きがないような気がするんだよなぁ。 何年か前に学んだことを思い出して懐かしい気持ちに浸ることができた。 まあ、憲法はむずかしくないっていうのは明らかにウソで、大学の学部レベルでも非常に多岐の論点で学説の違いがあることを学ぶので、簡単な問題であるはずもないが、少なくともこの人がこの本に書いたことを読めば、この本に書かれてる範囲に限って、理解することは容易いだろうと思う。池上彰って、物事をわかりやすく説明することも上手ければ、ともすればこの人の説明を聞けばわかった気になれるってところも上手い。 自分の関心のある自衛隊の部分に関して言えば、前文の、「われらは平和を維持し、〜名誉ある地位を占めたいと思ふ」、「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」ってとこから自衛隊の海外活動の根拠が導かれてるってとこが、なるほどと思った。解釈はともかく、自衛隊の海外派遣について考えるときに、意外と国家の理想を示した憲法前文まで遡って根拠を求めるなんてあまり考えることなかったもので。 この辺読んでて思ったのが、方法論とかはともかくとして、難民問題とか経済、安全保障とか考えるときに、自国さえ豊かで安全であればいいって考えは、憲法の掲げる理想に従えばそもそも採り得ないってことを、意外と自分含め多くの人が意識してないということ。前文っていっても、また、理想に近いものでも、法規範性あるってのが通説だしなぁ。解釈はともかくこれには背けない。まぁ本気で自国さえよければっていう人はあまりいないだろうけど、そもそもそういう選択肢を採りえないんだっていうことまでは考えてなかったなぁ。考え方の一つとしては自国さえよければっていうのもアリかと思ってた。 いろいろ今日の社会の問題について考えるときに、憲法前文にまで立ち返って国家の理想とは何だったかと考えてみるっていうのもいいかもしれないね。 国会は唯一の立法機関ってところで、内閣提出法案が殆どで議員立法が少ないことを批判的に書いてあるけどこれもどうなんだろうね。複雑化した社会では行政の専門家たる官僚に任せざるをえないってこともあるし、官僚が作るのは飽くまで法案であって、実際に成立させるのは議員なんだから、法案→法律の過程が法を作ることだとすれば、条文上も何ら問題ない気がする。まあ、インスタントラーメンを誰が作ったかってのとおなじかな。お湯を入れただけの人なのか、麺とかやくを調理してカップに詰めた製麺会社の人か、みたいな。違うか。 9条に関するところはいろいろと複雑なので、池上式解説は理解に役立った。 最後の章は、改憲について。個人的には9条以外の条文でも、社会の変化についていけていなかったりする部分があると思うので、そろそろメンテナンスの時期なのではないかなぁと思う。これまで通りの技巧的解釈等で乗り切るという方法も無いではないが、それこそ護憲派が忌み嫌ういわゆる解釈改憲しかいずれ道がなくなってしまうと思うし、それは自分も良いとは思わない。 公務員には憲法尊重擁護義務があり、採用時にはその宣誓がある。公に仕える者の責任として、公務員は憲法を学び、考えることは続けていかなければならないと、この本を読んで改めて感じた。改憲について考えることは憲法尊重擁護義務に反しないというのが通説なので、より良い憲法の形がないのかということも含めて。 教科書読み直してみようかな。
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そもそも憲法を読んだことがない人が43%もいる中で憲法改正について議論できる状態ではない。戦後日本が手に入れた平和な70年間が今塗り替えられようとしている。憲法には変えられない部分と変えられる部分がある。その基本原理をもう一度確認しつつ今置かれている状況をどう考えるか自分なりに意見を持たなければならないと感じた。歴史は繰り返すか?環境に適応するべきか?そもそも問題を考えるための土台となる知識を必要最低限に分かり易く解説し個人の意見を持つために憲法をもう一度その趣旨から考え直すため本書は非常に助けになる。 私自身は護憲派だと思っていたが、本書を読んで、国際社会との協調、憲法はそもそも守らなければ意味がない、ということを考えると、改正を加える必要もあってはいいのではないかと思えた。憲法には変えられる部分と変えられない部分がある。と本書の中にも書かれている通り、基本原則は変えないままでも、世界情勢に合わせて柔軟に修正を時代に応じて適した形にしてもいいのではないか。とも思える。その際、また、憲法は改正しないで、基本法を整備していくという立法改憲の立場もよく分かる気がする。ニュースで飛び交う憲法改正議論について、いったい何が問題になっているのかを知るための知識として土台となる国家の形をそもそも普段から考えたこともないため、一方的に反対とか賛成とか声高に叫んでいた部分を反省させられた。 とわいえ、池上氏と同じく、多くの犠牲の上に成立した平和主義という尊い9条を改正することに感情的な拒否感がある。白黒グレーゾーンで自衛隊を擁護する大人の知恵が私の中では一番しっくりくるのは、先送り日本らしい自分の精神なのかもしれない。本書を読んで自分の考えを整理するための助けになる。あらためて国民主権に託された国民自身の責任を痛感する。国家に白紙委任状を渡すようなことだけはしたくないと改めて考えさせられ、選挙権を行使しないのは義務を怠っているんだな。とわかった。選挙に行くためには自分の判断と選択のための予備知識が必要であることもわかった。当たり前のことだが、普段国が決めることは国にまかせっきりだった自分が居たので、当たり前のことに気づかせてくれた。非常にためになる日本国憲法のわかりやすい一冊だ。
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(10年ほど前のこと)これからの1年間、自分なりに憲法を勉強し、小中学生に向けて、憲法について語ろうと思っています。今まで法律については全く興味がありませんでした。というか、難しそうな言葉が並んでいるので読む気もしませんでした。憲法と法律の間にある差異も知りませんでした。そんな私...
(10年ほど前のこと)これからの1年間、自分なりに憲法を勉強し、小中学生に向けて、憲法について語ろうと思っています。今まで法律については全く興味がありませんでした。というか、難しそうな言葉が並んでいるので読む気もしませんでした。憲法と法律の間にある差異も知りませんでした。そんな私でも本書は十分に納得のいくものでした。子供向けには書かれていますが、日本国憲法がつくられてきた背景から、いま現在何が問題で、どう改正(改悪)されようとしているのかがよくわかりました。イラクのフセイン政権が倒されて、無政府状態になったとき、どれだけの混乱があったかがわかりました。そこから、どんな苦労があって新しい憲法がつくられたのか、そして国づくりがなされたのかを知ることができました。そこから、本当に憲法の重要性を知ることができたと思います。これは真剣に憲法を読む必要があります。世界の憲法も参考にしなければなりません。そして、自分なりの考えをしっかりと子ども達に伝えていきたいと思っています。
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なんとなくわかっているつもりでも、間違って覚えていたり知らない事が多いのに気づけた。9条に関しての内容が多かったけど、憲法改正について万人が考えるきっかけの本になり得ると思う。もうちょっと憲法について理解を深めないと、と思った。
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20130908 憲法について何が問題なのか優しく解説されているので読んでみるべきだろう。この後どうするかは各自で考えないと。
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子供でも読める憲法の本、というテーマで書かれた新書。 池上彰はわかりやすすぎて、そこで満足してしまうのが難点なんだよなと思いつつ、基本が足りないので読んでみた。 そしたら、考えるための材料をわかりやすく並べたうえで、自分の頭で考えるようにうながす作りの良書だった。 現在の憲法に書...
子供でも読める憲法の本、というテーマで書かれた新書。 池上彰はわかりやすすぎて、そこで満足してしまうのが難点なんだよなと思いつつ、基本が足りないので読んでみた。 そしたら、考えるための材料をわかりやすく並べたうえで、自分の頭で考えるようにうながす作りの良書だった。 現在の憲法に書かれている内容を丁寧に解説し、背景も一緒に教えてくれる。 改憲も護憲も、そもそも憲法ってなあに?ってことを知らなくちゃ語れない。 だからまずは知りましょう、そして考えましょう。とっつきにくいなら説明しますから。 という姿勢で書かれている。 無知や無関心を責めるのではなく、知らないならわかるように説明しようという意志がすごい。 この本は俗に言う「中立」の立場で書かれているけれど、自分を別の場所においてあれこれ評論しているわけじゃない。 どちらにも一理あって立場を決めることができない、と自分の迷いを表明する。 そういう風に立場を明確にした「中立」で書かれた文章だから、考えるためのタネになる。 改憲を叫びまくっているにもかかわらず、芦部信喜(憲法をちょっと調べたら必ず出てくる憲法学者)の名前を「専門家じゃないから知らない」と言って恥じない某総理にプレゼントしてさしあげたい。 これなら難しくないから小学校高学年くらいの知能があれば読めると思う。 憲法は占領下でアメリカに「押し付けられた」ものだからダメだっていう意見は論理的じゃないんだなと思った。 「押し付けられたからダメ」なら、アメリカの都合で作られた自衛隊も同時に批判しなきゃおかしい。 (日本国憲法の草案を作ったのはアメリカ人だけど、その時参考にしたのは在野の日本人憲法学者たちが書いたもの。 自衛隊の前身である警察予備隊は、アメリカの指示で創設されたもの)
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憲法改正が話題になっているので、読んでみました。 やっぱり池上さんの解説はわかりやすいです。自衛隊ができるまでの変遷などもわかりやすく説明してあって、憲法改正の賛成・反対、それぞれの意見ももっともだということが理解できる。
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ぼんやりと知ってる気になってたことが いろいろ訂正されたり裏付けられたりした。 読みやすいし解りやすい。
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分かりやすいことでおなじみの池上彰さんの著作を初読。確かに分かりやすい。「戦力を持たない」という思い切った宣言も、時代の流れ・外部の圧力・いろいろな人の思惑により、様々に揺れ動くのですね。簡単に変えてよいものかどうか。難しいところです。
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憲法はとても大事なものだから、変えるにしろ、守るにしろ、しっかり考える必要がある。そもそも憲法ってなんだろう?この本は、そんな素朴な質問に答えます。(「BOOK」データベースより)
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