日日の麺麭・風貌 の商品レビュー
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この作家の「落穂拾い」という作品をどうしても読みたいと思っていた。けれどもそれが何のきっかけでかはほんとうに思い出せない。ずっと頭の片隅にいた作家なのだけどな。 太宰と井伏に師事していたという経歴があり、どこか三浦哲郎を思わせる。時期でいうと三浦が文壇に登場した数年後には亡くなっており、奇しくも入れ違いのような形だ。第三の新人と同じ頃、作品が幾度も芥川賞候補になっていた。 この作品集に収録されているどの小説も読み応えがあったがその中でも「落穂拾い」がやはり断トツでよかった。冒頭の文章にとても惹かれたので下に記す。 仄聞するところによると、ある老詩人が長い歳月をかけて執筆している日記は嘘の日記だそうである。僕はその話を聞いて、その人の孤独にふれる思いがした。...... この作品の全体を覆う平穏で淡々としている語りや雰囲気がなんともいえずよかった。小沼丹ともまたちがうような、けれども特異さという意味ではどこか似ている気もする。 清くんと呼ばれる作家自らと思われる主人公を据えた話がほとんど。娼婦との交流を描いた「朴歯の下駄」は八木義徳の同様の短編を思い起こさせた。
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僕の好きな作家の一人。何度も何度も読んだ。「誰かに贈物をするような心で書けたらなぁ」この一文は小山清という一人の人間の本音だろう。文庫の帯にある「孤独と慰め、祈りの文学」とは小山文学全てを表している。
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オンエア中の「ビブリア古書堂の事件手帖」の第2話で出てきた「落穂拾ひ」。図書館に所蔵は無いし、古書店も無いみたい。それで、全集で読んでみた。「落穂拾ひ」自体は、とっても短くて、日記?みたい。ドラマに出てくるだけでなくて、ドラマの設定(古書店が出てくる)にもリンクしていて、読んで得...
オンエア中の「ビブリア古書堂の事件手帖」の第2話で出てきた「落穂拾ひ」。図書館に所蔵は無いし、古書店も無いみたい。それで、全集で読んでみた。「落穂拾ひ」自体は、とっても短くて、日記?みたい。ドラマに出てくるだけでなくて、ドラマの設定(古書店が出てくる)にもリンクしていて、読んで得した気分になりました。読んでからドラマを見ていくと、ちょっと作者に近づいている感覚になれて良いかもしれません。
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「気長に周囲を愛して御生活下さい」(風貌)という太宰治の言葉が浮かんでくるような、心が暖かくなる話。 気持ちがすさんで斜に構えてしまいそうな時に読みたい。 彼の視線があたたかくて、どの人もふんわり良い人に描かれているからかな。 「イプセンの”野鴨”という劇に、気の弱い主人公が自分の家庭でフリュートを吹奏する場面があるが、僕なんかも笛が吹けたらなあと思うことがある。たとえばこんな曲はどうかしら。”ひとりで森へ行きましょう”とか”わたしの心はあの人に”とか。まま母に叱られてまたは恋人からすげなくされて、泣いているような娘のご機嫌をとってやり、その涙をやさしく拭ってやれたなら。 誰かに贈物をするような心で書けたらなあ。」(落穂拾い)
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ちくま文庫『短篇礼賛』に収録されてた「犬の生活」に惚れて読んだのだけど、なかなかよかった。ひっそりした空気が好きでした。でも「犬の生活」がやっぱりいちばんかな。
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初期から晩年までまで。 初期作品は初期作品で吉原あたりの風景がとってもよい。 晩年は晩年で(背景をみてしまうと)小川清にしか書けないもんが書けている。
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