いま知りたい日本国憲法 の商品レビュー
憲法をめぐって逐条ごとに解説する楽しい読みもの《赤松正雄の読書録ブログ》 三日の憲法記念日を前に、安全保障と憲法の関係について産経のインタビュー取材を受けたり、憲法審査会の展開状況について公明新聞に原稿を寄稿したり、読売の憲法座談会に出席したりした。そのために、改めて憲法をめ...
憲法をめぐって逐条ごとに解説する楽しい読みもの《赤松正雄の読書録ブログ》 三日の憲法記念日を前に、安全保障と憲法の関係について産経のインタビュー取材を受けたり、憲法審査会の展開状況について公明新聞に原稿を寄稿したり、読売の憲法座談会に出席したりした。そのために、改めて憲法をめぐる本に目を通した。 かつて東京新聞紙上に逐条的に憲法の全文が解説されたことがあり、それが後に一冊にまとめられた。『いま知りたい日本国憲法』がそれだ。憲法については、分かったようで分からないというか、結構盲点が多い。それをこの本は、優しく読みやすい形で解き明かしてくれており大変に参考になる。かつて、日経新聞で出された『憲法改革』もしっかり読んだことがある。こちらは、明文改憲か、それとも法律改革かとの根本的な問いかけを提起しており、大変に参考になる。同じ新聞社でも読売新聞のように憲法改正試案を世に問うているところと違って、あまり前のめりにならずに落ち着いて、憲法を検証しようとしているところに好感がもてる。 さて、東京新聞政治部編のものは、幾つか面白い記述がある。一つは、俳句調と短歌調の規定があるとしたくだり。憲法23条―学問の自由はこれを保障する。憲法82条1項―裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。憲法本でこういう記述と出くわすと楽しい。 これ以外にもあれこれクイズめいた書き方もされていて面白い。例えば憲法の中に「絶対に禁ずる」という表現が出てくるところが一箇所だけあるのは、どこか。36条―公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる、としているところだ。絶対にとの表現がない18条の「奴隷的拘束及び苦役」はなぜ絶対禁止ではないのか、少しだけなら許されるのか、などといった疑問を持つ人もいるかもしれない、などと書いている。大勢に影響がないといえばないのだが、こういう風な見方をすると親近感もでてくる。 それ以外にもクイズめいていて面白い質問があって考えさせる。たとえば、議員歳費一割カットは憲法違反という理屈は正しいか?残虐な刑罰が禁止されているのに、死刑が継続してもいいのか?国会議員は、院内でなら、どんな発言をしても罪に問われない?などいったように。 もちろんこんなタッチばかりではなく、重いテーマをやさしく解説してくれてもいる。連休の中で読まれてみてはどうか、とお薦めしたい。
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