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半歩遅れの読書術(1) の商品レビュー

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2020/05/01

現在も日本経済新聞の土曜(かつては日曜だった)の読書欄に連載の続くエッセイ「半歩遅れの読書術」の、連載当初4年分をまとめて出版したもの2冊の第1巻(副題「私のとっておきの愉しみかた」)である。 連載初期であるだけに、執筆陣は大変豪華である。沢木耕太郎、長田弘、出久根達郎、久世光彦...

現在も日本経済新聞の土曜(かつては日曜だった)の読書欄に連載の続くエッセイ「半歩遅れの読書術」の、連載当初4年分をまとめて出版したもの2冊の第1巻(副題「私のとっておきの愉しみかた」)である。 連載初期であるだけに、執筆陣は大変豪華である。沢木耕太郎、長田弘、出久根達郎、久世光彦、荒川洋治、山崎正和、鷲田清一、奥本大三郎、藤沢周、坪内祐三、川上弘美、多和田葉子、川本三郎、加藤典洋。。。 また、このエッセイの面白いところは、出版から半歩(1~2年)遅れることによって初めて読む価値の“分かる”本を紹介すると同時に、無類の本読みたちが、自らの読書に関わる様々なエピソードを披露してくれていることである。 私は、2005年の出版から4年ほどしてから古本で手に入れたが(既に絶版だったように思う)、それから10年を経て、今改めて読み返してみても、大変楽しめる内容である。 出久根達郎・・・「私の本の読み方の一つ。書棚に並べて半年間、ついに読まなかった本は、箱に詰めるなりして、いったん引っ込める。半年後、箱から一冊ずつ取りだし、じっくりとながめる。すると、全部ではないが、何冊か読みたくなる。その場で読む。私はこれを「かくれんぼ読書」と称している。・・・本は毎日ながめていると飽きる。隠して、忘れるのである。」 私は、このコロナ禍による長い在宅時間を利用して、長年積読状態だった数十冊の本を片っ端から読んでいるのだが、今は読む気が起きないものの、いつかは読みたくなりそうな気がして、古本屋には売りたくない本がやはりあるのだ。。。そんなときにこの文章を読んで、思わず膝を叩いてしまった。ぜひ試してみよう!(尤も、その間本を所蔵しておく場所がまた問題なのだが。。。) 長田弘・・・「ソローを、あなたはどう思うか。あるいは、ソローを、あなたは読んだことがあるか。アメリカ人に、またアメリカに関心をもつ人にそう聞けば、その答えだけでその人がどんな人か判るだろう。もし合衆国第43代大統領(ジョージ・W・ブッシュである)に質したら、その答えはどうだろうか。ウォールデン池畔の森のなかに、大学生だろう、若い12、3人が車座に坐って、一人が本の一節を読み、みんなが黙って聞いていた。そうやって『森の生活』を読んでいるのだった。フィールドワークとして。」 荒川洋治・・・「「書物」とは、内容とかたちを含めたものだが、さらに、その向こうにひろがっている世界のことでもある。だから個別に本を愛している人でも「本というもの」について興味や愛情をもたなければ、「書物」を心に描くことはないのだ。もちろん時代は変わるから、本などどんどん捨てていいのかもしれないし、本のかたちや、物としてのようすが意識から外されるのもわからないではない。でもどんなふうに扱われたとしても、本は「書物」の影を引く。」 等々 こうした本を絶版にしないことこそ、本を愛するということだと思うのだが。。。 (2009年12月了)

Posted byブクログ

2009/10/07

日経新聞の日曜版に出ている読書人たちによる本の紹介と読書の思い出。日曜の新聞は各社ともに読書や本の紹介がされているから読んでいるだけで楽しくなる。

Posted byブクログ