ほとんど記憶のない女 の商品レビュー
すごく奇妙な作品。 普通、読み手と書き手には一定の距離があり原則的には作品中でその距離感が変わることはあまりない。 この作品では、それが数行ごとに目まぐるしく変わる。作中の登場人物に視点があるかと思えば、次のセンテンスではその登場人物を見つめるだれかの視点に、かと思えばその次には...
すごく奇妙な作品。 普通、読み手と書き手には一定の距離があり原則的には作品中でその距離感が変わることはあまりない。 この作品では、それが数行ごとに目まぐるしく変わる。作中の登場人物に視点があるかと思えば、次のセンテンスではその登場人物を見つめるだれかの視点に、かと思えばその次にはそれを今書いている著者の視点に。 だから時にここに書かれているものは一見不完全なものに見える。小説のプロットかあるいはアイディアかの様に。 たぶんこれを面白いと思うのは、読むことが好きな人。あるいは自分の思考うを辿ることが好きな人なんだと思う。 物語が好きという人には間違っても勧められない作品だと思う。 是非手許に置いておいて、度々読み返したい。近いうちに購入しようと思う。 図書館にて。
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怜悧で簡素な文体ながら、日常の人の心にふと発生する不条理感が的確に記されている。きっと、原文はくせ者でアクが強いんだろうな。訳者の力量があってこそこの作品が楽しめたのだと、すっごく思う。
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ショートショートが主におもしろかった。主観がない小説は元々すきだし、この手の寓話っぽいものもすき。まじで好みでした。
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不思議な一冊だ。二百ページほどに51編。帯には「悪夢的ショート・ショートからリアルな超私小説まで、ちょっとひねくれたあなたに贈る51の短編。」と。ちょっとどころかかなりひねくれている私には、とても面白かった。訳者あとがきも興味深い。そこからもちょっと引用。「リディア・デイヴィスの...
不思議な一冊だ。二百ページほどに51編。帯には「悪夢的ショート・ショートからリアルな超私小説まで、ちょっとひねくれたあなたに贈る51の短編。」と。ちょっとどころかかなりひねくれている私には、とても面白かった。訳者あとがきも興味深い。そこからもちょっと引用。「リディア・デイヴィスの書くものは、どれも一筋縄ではいかない。クールなのに熱い。抽象的なのに生々しい。遠いのに近い。思索的なのに官能的。知的なのに滑稽。」そのとおり、なのです。私は、こういう感覚、好きです。おそらく、著者と訳者の双方と相性がいいのだと思います。他の作品も読みたくなりました。訳者あとがきによって、ポール・オースターとの関連も知ることができました。これで『トゥルー・ストーリーズ』への、私なりの足がかりができました。
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私はホテルの部屋のバスルームの床に座っている。夜明けすこし前で、私は酒を飲みすぎており、そのために単純なことがらがひどく驚くべきことに感じられる。いや、それとも単純なことではないのだろうか。ホテルは静まりかえっている。私は目の前にあるタイルの上の裸の足を見、そして思う――これは彼...
私はホテルの部屋のバスルームの床に座っている。夜明けすこし前で、私は酒を飲みすぎており、そのために単純なことがらがひどく驚くべきことに感じられる。いや、それとも単純なことではないのだろうか。ホテルは静まりかえっている。私は目の前にあるタイルの上の裸の足を見、そして思う――これは彼女の足だ。ついで立ちあがり、鏡を見て思う――ほら、彼女だ。彼女がこっちを見ている。 すると私はああそうかと思い、心のなかで言う。自分の外にあるものは、なんでも“彼女”と言うのが正しいのだ。私の足があそこにある、それは私から離れているから“彼女の”足だ。鏡を見れば、私の顔に似たものが映っている。それも“彼女の”顔だ。 短篇集。淡々としていたり優しかったり冷たかったり素直だったり殆ど破綻してたり。短いのは本当に短くて二、三行とか。
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五十一の短篇集。どれもシュールなものである。彼女や彼といった三人称や主語のないものが殆どだ。終わりは悪夢的でも、岸本佐知子さんの名訳で、リズミカルな内容になっている。どこかに希望の光りが見える、たとえそれが夢でも。飄々とした物語で次も岸本さん訳で出版して欲しいと思う。
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邦訳わずか8行の超短篇「十三人めの女」で幕を開ける51の短篇のアラベスク。悪夢のような幻想小説あり、寓話風あり、寸鉄詩風あり、また古い旅行記の模作ありと、1編ごとに変わるスタイルは、あたかも色や形や大きさもさまざまな「物語の種子」を見るようだ。
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数行〜数ページという短い文章の集まりなので、全てに感じ入るということも無かったが、感銘を受ける文章も沢山あった。女性の感覚とはこういうものか、と知った。女性の友人が思い出される本。[2006年前半]
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岸本氏の名訳。作者と訳者、両人を楽しめる。変化球にして、直球。素敵な女性達はいればいれるほど嬉しい。人生の辛酸はクセになるっす。
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短編とごく短い掌編小説を51集めた物。 言葉遊びのようなものも多いですが〜 時々、女性が普通に感じることをきらっと鋭くついて見せたりしつつ、トータルで作者の雰囲気を感じ取ることが出来ます。 久しぶりに文学に触れたような感覚で、なかなか好印象です。 アメリカ文学の静かな巨匠だそうで...
短編とごく短い掌編小説を51集めた物。 言葉遊びのようなものも多いですが〜 時々、女性が普通に感じることをきらっと鋭くついて見せたりしつつ、トータルで作者の雰囲気を感じ取ることが出来ます。 久しぶりに文学に触れたような感覚で、なかなか好印象です。 アメリカ文学の静かな巨匠だそうですから。 難解というほどではないけど、万人向きというわけにはいかないかな?
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