どんがらがん の商品レビュー
河出書房の「奇想コレクション」シリーズより。 殊能将之・編。 シリーズ全書読みたいのだけど、まずはいちばん気になるものを。 表題作の『どんがらがん』はもう、それはそれはバカバカしい痛快スラップスティック。深読みの楽しい仕掛けも散りばめられててサービス満点ですね。最高です。
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これも「なんでかわからないがWishlistにはいっていた」本の一つ。殊能将之が編者ということで、変な話が多いのだろうな・・と思って読み始めたのだが、想像以上に変な話ばかりで、途中読むのがやや辛かった。基本的に読む人を選ぶ作家なのだろう。 例えば巻末の解説では絶賛されている「ゴ...
これも「なんでかわからないがWishlistにはいっていた」本の一つ。殊能将之が編者ということで、変な話が多いのだろうな・・と思って読み始めたのだが、想像以上に変な話ばかりで、途中読むのがやや辛かった。基本的に読む人を選ぶ作家なのだろう。 例えば巻末の解説では絶賛されている「ゴーレム」など、僕の感覚ではストーリーがどこにあるのか全然わからず、楽しみ方がわからずじまいだった。一方で「さあ、みんなで眠ろう」や「ナイルの水源」のように、ちょっと奇妙な話ぐらいのテイストであれば、その訳の味わいとあわせてすいすいと楽しむことが出来る。 読む人を選ぶ作家だろうので、誰にでもお勧めすることが出来る作品ではない。そして、この本を読んでいて一番驚いたのは殊能将之が既に鬼籍にはいられていたこと・・・。全然知らなかった、合掌。
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短編集。いくつか読んだ。 よくわからないのが多い… 「ナポリ」は、読んだ後は意味がわからなくてモヤモヤするけれど、そのモヤモヤが尾を引いて癖になりそうな、面白い作品だった。 2014.02.01
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空前絶後の輝かしい受賞歴をもち、キプリングやサキ、 G・K・チェスタトンに比肩すると評される 異色作家アヴラム・デイヴィッドスン。 彼が遺した多くの短編作品の中から、 現代日本における異色作家・殊能将之が選んだ、 表題作「どんがらがん」を含む全16編を収録した傑作選。 ...
空前絶後の輝かしい受賞歴をもち、キプリングやサキ、 G・K・チェスタトンに比肩すると評される 異色作家アヴラム・デイヴィッドスン。 彼が遺した多くの短編作品の中から、 現代日本における異色作家・殊能将之が選んだ、 表題作「どんがらがん」を含む全16編を収録した傑作選。 河出書房の“奇想コレクション”第7回配本。 デイヴィッドスンの名前を知ったのは、 殊能将之のホームページ内にある読書日記でのこと。 だから、氏が編纂したこの作品集には以前から興味があった。 日本人の作品ばかり読んでいると、 この種の短編に触れる機会はあまりないような気がする。 実際、自分も初めて味わうテイストの作品ばかりで戸惑った。 「ゴーレム」や「クィーン・エステル、おうちはどこさ?」、 「尾をつながれた王族」「グーバーども」のように “理解”という方式で作品を受け入れようとする読者を 悠然と置いてけぼりにする作品もあるかと思えば、 「物は証言できない」「さあ、みんなで眠ろう」のように テーマがわかりやすい形で伝わってくる作品もある。 「ラホール駐屯地での出来事」や「すべての根っこに宿る力」は 本格ミステリ風の雰囲気を漂わせていて好みだし、 「サシェヴラル」「パシャルーニー大尉」あたりは 語られないバックグラウンドを想像させる奥行きの深さがある。 「さもなくば海は牡蠣でいっぱいに」は、 タイトルと奇想の飛びっぷりだけで充分に素晴らしいし、 「眺めのいい静かな部屋」は、地味であるが ユーモラスかつ少し暗い雰囲気が秀逸だ。 「そして赤い薔薇一輪を忘れずに」に関しては 正直、その意味を完全に把握できたという自信はない。 「ナポリ」は一瞬の幻覚のような素敵な逸品。 「ナイルの水源」「どんがらがん」などはやや長いが、 プロットもアイデアも何もかもが愉快で飽きさせない。 いずれの作品も、アイデア、文体、物語の展開、 ディテールの作りこみ方など、すべてがユニーク。 意味などわからなくてもいい。 わかろうとする必要もないし、 また、どうせ意味などわからない作品も多い。 ただ素直に、ひとつひとつの短編の世界に入っていけばいい。 よくわからなくても、きっと素敵なひと時が過ごせるはずだ。 ただもちろん、この作品集が“傑作選”たりえたのは、 編者である殊能将之の手腕によるところも大きいのだろう。 殊能氏の批評眼の鋭さには感謝せねばなるまい。 日本での知名度は極めて低いデイヴィッドスンの、 最新の作品集にして、決定版と言っても過言ではない一冊。 日本ではあまり読めないタイプの素敵な短編がぎっしり。 値段は高いが、装丁も素晴らしいし、買って損はしない本だ。
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SFとミステリを、宗教とか呪術とかで味付けした変な短編集。すんごく読みにくいしハズレ方もでかい。意味わかんないのはほんとにわかんない。でもたまに大当たりを出す。そんな感じ。 特に気に入ったのはこの3つ。 「さあ、みんなで眠ろう」 どっかの惑星で、人間によく似たヤフーって原始人が発見される。狩りの対象にされたり慰みものにされたりして雑に殺されてるそいつらを、主人公がどうにかして救おうとするはなし。ラストが切ない。 「すべての根っこに宿る力」 冒頭からしばらく、主人公の体調がどれくらい悪いかって描写が延々と続くだけで退屈だなーと思ってたら、たった一文で本格ミステリになっちゃった。この犯行動機はおもしろいなー。 ただ、タイトルがほとんど内容と関係ない。 「どんがらがん」 SFだけどドリフターズ的な要素もあるし、異世界召喚ものっぽくもあるという、かなり今っぽいネタの短編だった。わかりにくいけどギャグいっぱいだし、ラノベっぽいかも。 猿の惑星が1963年でこれが1966年か。アレんとこはもろ影響を受けてるな。
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ちょっとしたエピソードを膨らまして、彩り豊かなイメージと人の心の闇で味付けした短編集。ところどころハートフル。
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ミステリ、ファンタジー,SFなどジャンルもテイストも多種多様な奇妙な物語16篇が収められた短編集。「ナポリ」がすごいね。視覚的なイメージ喚起力に圧倒されて翻弄される。「物は証言できない「ナイルの水源」「どんがらがん」もお気に入り。というか全部好き♪
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「どんがらがん」って一体何〜?この作品群の特徴を一言でまとめるのは難しく、あえていうなら「変な味」のする物語。ミステリ、SF、ファンタジーの3ジャンルの文学賞の短編部門で受賞した希有な作家でもある(この3篇も収録)。ジャンルもテイストも多種多様、ホロリとくる人情もの、皮肉なラストを迎えるものなどストレートに伝わる短篇がある一方で、なんとも捉え難いわかりにくく書かれた物語もあったり、この作品群の中でひとつだけ抜き出して代表作を選ぶのは困難そうだ。個人的には『さあ、みんなで眠ろう』が後を引く切なさで一番のお気に入り、『ゴーレム』は老夫婦のそっけなさが笑えるし『物は証言できない』の皮肉さも面白い。【以下あらすじ&ひとこと感想を】『ゴーレム』とある老夫妻の家のポーチに無断で入ってきた灰色の顔の男。自分は人間ではないと話し出すのだが…。男が自分の正体に驚けとばかりに話すのだが、老夫婦の何食わぬ対応がおかしいったら(笑)。『物は証言できない』黒人奴隷問屋の男が地元新聞に黒人の委託販売の広告を出した。奴隷を者扱いする男に皮肉の利いたラストがよかった。EQMM短篇小説コンテスト受賞作。『さあ、みんなで眠ろう』長い宇宙旅行の途中の息抜きに寄るバーナムの惑星。旅行者たちは星に住むヤフーを下等な野蛮人と見なして狩りを楽しむ。この行為に憤りを感じた一人の男が絶滅を防ごうとするが…。前作同様弱者への擁護精神を感じさせる。胸にずしんと来るラストに余韻がいつまでも残る、一番好きな作品だ。『さもなくば海は牡蠣でいっぱいに』自転車店での奇怪な話。無機質な物が繁殖する奇妙さがおかしな作品。タイトルはS・Hの『瀕死の探偵』の中でホームズが口走った台詞に由来する。ヒューゴー賞受賞。『ラホール駐屯地での出来事』老人がかつていたラホール駐屯地の出来事を語る。一目おかれていた大男とネズミという渾名の小男。上等兵の女友達と大男が恋人になったのだが…。いろいろあっての顛末にやや驚き。MWA賞受賞。『クィーン・エステル、おうちはどこさ?』寒さの中を遠い勤め先のお屋敷に通っている家政婦クイーンエステル。屋敷の奥様はヒステリックで…。「おおさむ、おおさむ」で始まり「ほかほか、ほかほか」で終わるほのぼの感がよい。『尾をつながれた王族』尾を繋がれ動けないお父様やお母様たちに、一つ目は水を口に含み運ぶ。わかったような、わからないようなファンタジックな話。『サシェヴラル』暗く寒い悪臭が漂う部屋で、サシェヴラルは鎖に繋がれていた。最後のオチは二通りに解釈できそう。結局サシェヴラルは猿なのか。う〜ん。どうなんだろう。『眺めのいい静かな部屋』老人ホームで独り身のリチャードは他の男性たちと大部屋に詰めこまれていた。一方美しい妻を持つハモンドは眺めのいい部屋に夫婦二人だけで住んでいた。傭兵時代に対する疑惑をハモンドに追求されたリチャードは…。意外とシンプルなオチ。『グーバーども』両親と離別し祖父と暮らす少年。意地悪な祖父に「グーバーに売るぞ」と脅され言いなりになるしかなかった。子供を脅すためのつくり話かと思ったらそれが現実になる面白さ、皮肉が利いている。『パシャルーニー大尉』運転手つきの高級車、高価な服に品の良い物腰でトンプスン少佐が学校にやって来た。彼は長年会えなかった息子ジミーに会いに来たのだ。少年側の羨望の眼差し、少佐の意外な正体に切ない気持ちになる。『そして赤い薔薇一輪を忘れずに』チャーリーは同じ建物に住むアジア系の男が困っているのを助け、部屋に招かれた。そこには信じられないような美しい稀覯本が揃っていた。お金で買えない本という設定も魅力的。先を予想させる小気味なラストもよい。『ナポリ』どうにもピンとこない作品。男がナポリの雑踏のなかで彷徨う雰囲気は味があるけれど。ナポリに行ったことがあれば少しは面白さがわかるのかも?『すべての根っこに宿る力』真面目な警察官カルロスは最近周囲の人々が敵意をもった目つきで自分を見るようになったと感じていた。悩んだ彼は医者に診せたが診断に納得がいかず、祈祷師に会うほどに。ミステリ色の強い短編。独特の設定が要に。『ナイルの水源』流行に乗れない作家が一人の男に会う。かつて広告業界の一線で活躍した男だが、今はだれにも相手にされない老いぼれ。しかし彼にはある秘密の強みがあった。苦い。『どんがらがん』カナラス国の領主の息子マリアンは旅の途中、<矮人の王様がた>の飛び地で<どんがらがん>と呼ばれる大筒を運ぶ人々と出会った。彼らは大筒で人々を脅し食べ物をせしめながら進んでいるようだ。仮想のおとぎ話のような雰囲気、秘密兵器どんがらがんの脅威、宝の持ち腐れ状態の大砲組一党など、魅力的な中篇。ドリフのような爆発オチ、“Bumberboom”を「どんがらがん」と訳した訳者に拍手^^
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ちょっと奇妙なテイストの短編集。 面白く読めた話もあり、正直、何度読み返してもよくわからない話もあり…
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英語でかかれた短編の最高傑作といわれている作者のもの。ただ、時代が古いため、目新しさを探してしまう短編としてはいまいち。
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