スウェーデンの高齢者福祉 の商品レビュー

ペールブルメー(著者),ピルッコヨンソン(著者),石原俊時(訳者)

2011/11/14

問題点の指摘や時代への洞察が実に鋭い。高福祉高負担の国として、また、福祉の先進国として世界に名高いスウェーデンだが、いやいやどうして、一筋縄ではいきません。

高齢者から「職」を奪ってはいけない。単なる年金生活者におとしめてはいけない。社会との接点、人との絆ほど生きる上で、必要になるものはないだろう。もちろん衣食住が満たされていることは当然として。

また、現在は大半を占める賃労働者型生活形態が後退し、キャリア型生活形態が重みを増してくるという指摘も興味深い。「定年」というものに私自身、大きな不安を感じているからだ。ならば、生涯、定年のない、また、定年後も働ける（社会のためになる）キャリアを今のうちから考えたいと思う。

日本の年金・医療・福祉のあり方を考えるにあたっても、抜本的なところからアプローチする必要を感じた。それはとりもなおさず、スウェーデンだからこそ、説得力を持って発信できたと言える。

さらに付け加えると、訳やコラム、注そして訳者による長い前書きも適切でした。机上の空論ではなく、生きた学問の力を感じます。

2009/10/07

スウェーデンというと、福祉関係に関しては秀でているように思いがちですが、ここまで発展するにも様々な局面をとおってきたこと、これからまだ解決していくべきことがあるのだということが分かります。