原弘 デザインの世紀 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
田中一光さんや日本デザインセンターの代表を務める原謙也さんなど日本のデザイン界を牽引してきた方々の書籍からよく目にする名前として原弘さんを知りました。 読んでみると今のデザイン思想に多くの影響をもたらした方だということが分かり、 戦時中発行された「FRONT」のデザイン、日宣美の牽引、日本デザインセンターの設立、東京オリンピック、大阪万博などなど、多くの日本人に影響のあるデザインを提案している方でした。 この本は原さんのデザイナーとしての生涯をまとめた本で、原さんの生涯とともに生まれた大正時代から平成にかけての社会や経済、文化の変化やデザインの進歩を学べる内容になっていました。 戦争を経た人というのは、日本人は誰もが学んだことがあると思いますが、同じ職業の人が戦争を経験しているというのはあまり遠くない話であり、感慨深いようにに感じました。 どことなく戦争を経験したデザイナーは優しさの中に厳しさを併せ持っているように感じます。 そして、現代のデザインの源流になっている部分を多く見受けられ、原さんは特に写真とタイポグラフィを取り扱ったデザインを提案していたデザイナーで、作品を見ていると現代のデザインはこの時点で完成されていたんだなということが分かりました。 実用書では学べない、デザイナーという職業の緊張感を味わえました。
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