喜びのおとずれ の商品レビュー
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ナルニア国物語の作者、C・S・ルイスの自叙伝。自叙伝というよりも、どのようにキリスト教への回心が行われたのか、についての著作である。おもしろかった。 ナルニアの著者なので、よきクリスチャンであり、情感性豊かに育ったかのように考えていたが、結構そうでもない。幼いころの家庭における幸不幸、限られた交友関係、読書体験など、よくぞそこまで細かに覚えているな、というのがまず思うことだったが、皮肉の強さも相まって非常に俗っぽく、それだけにとても親近感の持てる、始まりだった。戦争に傷ついた時代の人なので、それによる精神への影響も語られているが、浮き沈みも全てが見事な軌跡を描き、キリスト教信仰へ着地した、という感じである。 この人の回心の体験は、愛とか涙という性格よりも(描かれていないだけで、ないとは言い切れない。特に愛は存分に必要であったと思うが)、理性的、哲学的である。逃げようがない哲学的断崖に立たされて、神の実在、天国の実在を受け入れざるをえなくなってしまった、というようなことである。軽妙な語り口に、人間の心情を突き刺す一言が含まれ、多くの読書と勉学の経験からくる、古典や文学の鼻につかない的確な引用を持って、私たちにその回心を伝えてくれる。 最終的には直感、本心に十全に基づく直感によって、神の釣りざおに自ら引っかかったルイスの、鮮やかな回心に心を奪われました。アウグスティヌスと一面重なる部分も垣間見え、面白くも貴重な時間をもらいました。 13/9/9
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「ナルニア国ものがたり」で知られる英国児童幻想文学の雄・ルイスの自叙伝。 ルイスは少年時代からずいぶん書物好きだったようだ。と同時に宗教意識に対する頑なな思索もはしばしで感じる回想録であり、作家ルイスの精神成長の源流を垣間見られる興味が大きい。 盟友トールキンとの交流の記述にも期...
「ナルニア国ものがたり」で知られる英国児童幻想文学の雄・ルイスの自叙伝。 ルイスは少年時代からずいぶん書物好きだったようだ。と同時に宗教意識に対する頑なな思索もはしばしで感じる回想録であり、作家ルイスの精神成長の源流を垣間見られる興味が大きい。 盟友トールキンとの交流の記述にも期待したのだが、本書ではそこまで深いものに言及してないのは少々残念ではあった。
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