ソフトウェア工学 の商品レビュー
購入動機は「ソフトウェア工学」は、工学という名を冠しているものの、工学であるのか?という疑問を持ったから。 そして、工学であるのならどこまで満足できるようなものなのか?ということを知りたいということが動機。 感想は、工学と言えるほど満足できるような理論は無い。 故に工学と言える...
購入動機は「ソフトウェア工学」は、工学という名を冠しているものの、工学であるのか?という疑問を持ったから。 そして、工学であるのならどこまで満足できるようなものなのか?ということを知りたいということが動機。 感想は、工学と言えるほど満足できるような理論は無い。 故に工学と言えるほどのものでは無く、ほとんどHow To本のようなものであるが、How Toには足りない。 現状やこれまでのどこの会社や団体でも行ってきた、より効率的な開発方法は何か?ということを体系化を羅列したようなもので、この本から学び、実践をしても、「実践したから上手く行った」というものではないし、「実践できなかったから上手くいかなかった」というものでもない。 もっともこのこの批判が現れているのは2章のソフトウェア要求分析だろう。 そもそも、ソフトウェアの要求を出す方が、ソフトウェア自体への理解や、開発への理解というものは千差万別と言って良い。 充分な知識や経験がある人もいればそうでない人もいるだろう。 もし、ソフトウェア工学が工学であるのなら、あらゆる人、もしくは、ケースによる分別等を行うことで、最も良いアプローチを提案できるようになっているハズだ。 しかし、本書では、先人たちのアイデアが幾つか載っているにしか過ぎないし、それがどのように有効か?ということの評価ができていない。 もし、これが工学なのであれば、要求分析のときに、要求を持っている側から、よりよく情報を引き出すような手法が提案されるべきだろうし、前述様に要求を出す側の理解の深さは様々であるから、それらの理解の深さに関係なく均質な結果を引き出す、もしくは、理解の深さに依存した結果の引き出し方というものが出されることが工学であると思う。 もしそうでなくても、対人という面から、心理学的結果や手法を用いて情報を引き出す方法が述べられていることこそことが、要求分析に最も重要なことであるが、残念ながら本書にそのような記述は一切ない。 本書では、ある完璧な要求が与えられた時に、どのように図示化するか?ということしか書かれていない。 図示化などは所詮理解のためのツールでしかないわけで、これは分析と言うにはお粗末なものだろう。 実際には、前提となっている完璧な要求が得られないことの方が問題になることが大きく、そして影響も甚大になることを考えると、本書に書いてあることは余りにも無意味だ。 本書が余りにも足りないか、もしくはソフトウェア工学というものが余りにも未発達であるということわかる。
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